私の家族3【BROTHERSCONFLICT】

七節　side風斗 ページ15

「………」





スマホの画面を切って楽屋の天井を見る。





「"遠くから(・・・・)"、か……」





姉さんからのメッセージを思い出す。





「……あーもう！ほんっとウザイんだけど」





"あの日"の事は嫌でも思い出す。





泣いているところなんて見たこと無くて、ずっと笑っていた大事な姉さんが泣き叫んだあの日。





仕事が忙しくて家に帰る時間が遅かったからなんて絶対に言いたくない。





言えるわけがない。





僕が気づかなかったことは事実なのだから。





「…傷、増えてないかな」





白くて細い華奢な姉さんの腕に付いた無数の傷跡。





あの人は隠してるつもりだろうけど僕が見逃すわけがないよ。





あんな事があったから尚更、ね。





前に街の食堂であった時、無意識なのか頻(しき)りに腕を触ってた。






どんな思いでそういうこと(・・・・・・)をしていたのか。





想像なんてつかないし『わかる』なんて口が裂けても言えない。





どれだけ苦しかったのか。





どれだけ背負っていたのか。





どれだけ、姉さんは＿＿＿＿＿

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