【黒バス】一生言えない恋の話【短編集】

振り向くときの、あの角度だけを知っている/赤司征十郎/許婚 ページ8

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用意された赤ペンは使われていない。
コトン、と机の下に落ちて、ころころと私の足元まで転がってきた。





拾って、

「はい」。緊張のせいか口角を上手く上げられないけれど。



「ありがとう」。彼はそんなこと気にならないだろうな。



赤青だらけのプリントが恥ずかしくて、小さな筆箱を隠すように置いた。




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学年一位で名家。バスケも上手い。


あらゆる面で有名な赤司くんは、私の前の席の男の子だ。


日直の雑用で運んでいた、落ちそうなノートを半分以上手伝ってくれたという、そんな理由で私は赤司くんのことを好きになった。
単純だった。



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――だから。



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「…えﾞっ」




叶う叶わない、に重きを置いていたわけじゃないけど。




「意外かい？」




･･･ああ嘘です、置いてました、重き。




「い、意外、っていうか、……」



あっわよっくばー、なんて妄想、何回したか覚えていません。




「すごく驚いた顔をしている」



「いっや驚くよ！？そ、そりゃあ赤司くん家が名家なのは知ってたけど……」




現代でも、ドラマじゃない現実でも、こういうのあるんだ、へえー、って。




「･･･本当にいるの？婚約者......」




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あずきいろ

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