【黒バス】一生言えない恋の話【短編集】

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「…ねえねえ、さっきの話」


「あぁ、いつも通りじゃない話だったか」


「それの前！」






( でもそれは、私もおんなじか。 )




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「それの前……」


忘れた、と言葉としては出ずとも表情にそう書いてある。

…瀕死なのは目もだけど表情筋も思考回路もだよねー、と、いつぞや原くんが笑っていたのを思い出した。



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「付き合ってる同士がさ！」


じれったくて、話を進める。つい大声になってしまった。


カップル、とか恋人、という呼称が少し恥ずかしいような、私たちはまだまだそんなお年頃なのだ。




「互いを補い合うっていう…」


「ああ、」

そういえば。と康次郎は何かを思い出したようで、少し高くなった声のトーン。



「シュークリームだ」


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「……シュークリーム。」



……どうやら彼が思い出した何かは、私が想像していたものではなかったらしい。


というか！
いきなりシュークリームってなんやねーん！話聞いてへんのかーい！……って、
私が関西人ならツッコミを入れていた。間違いない。


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康次郎は(珍しく)補足を入れる。


「Aが、去年の四月に作った…」

「あ、あぁ、私の？失敗したやつ？」


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家庭科部で作ったダークマターね、はいはい、と言うと、『失敗…？？』というような顔で私を見つめる康次郎。


いや、あんな、部員顧問から引かれるレベルの食べ物(ギリギリ)を「美味しかったけどな」なんて。




間違いなくシュークリームに対する冒涜だと思う…
康次郎も、それで単純に喜んでしまう私もね。

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