【黒バス】一生言えない恋の話【短編集】

2 ページ2

.



自分の両手を交互に見て、考える。

朝の電車のなかでまで、存在を消す方法を調べていたのに、今は先輩の記憶の中に強く残りたくて仕方がない。

なんて言えば笑ってくれるかな、と頭の中はいつも一人二役でシミュレーション。




「…え？え？服と一緒に洗濯しろってことですか？」


「んなわけねぇだろ！切るんだよ！」


「服も一緒に、ですか…？」


「なんでさっきから服とパイナップルをセットにしたがるんだよ！轢くぞ！」




出ました『轢く』！


宮地先輩はたびたび物騒なことを言っているけれど、なんだかんだ最後は笑っている。
私はその笑顔が好きだったりする。




手に力が入る。
その力は誰よりも私の心を分かっているようで、いつだって無意識だ。




“本人には一生 言えないけどね”




ぐるぐる


ぐるぐる回る。




.





.







―パイナップルは、風邪で休みの木村先輩のお母さんからの差し入れ、らしい。




昨日見舞いに行ったときによー、と教えてくれた。





･･なんだ、昨日早く帰ったのは。





根本的な解決には至らないのに、そこで安心してしまう自分がいた。





もっと違う用事かと思っていましたよ、先輩。





どうしようもないんですけどね。





.

3→←敵いも叶いも/宮地清志/先輩後輩

ラッキーカラー

あずきいろ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す