Be My Last (ページ21)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:32,148 hit

19 ページ21

襲撃の日より丸5日ほど、ようやく私は自力で立てるまでに回復した。
乙一さんの献身的な看病により、随分早く力がついたようだ。

乙「熱も下がったし…今日は顔色良さそうだね」

「乙一さんのおかげです」

乙「いやいや、君の自力が強いからだよ」

「…あの、今日お話ししたいんですけど、いいでしょうか」

乙「！…もちろん。弟者くんたちは夕方頃に戻る予定だから、夕飯の時にしようか」

「はい！ちなみに、恵比寿は今どうしているんでしょうか…」

乙「良くも悪くも、あの日から動きはないよ。今日もそれを見にあの兄弟を行かせたんだ」

ほっ、と一息ついた。
与り知らぬところで勝手に死なれては困る。それほど憎い仇なのだ。
詳細はまた2人が戻ってから、という乙一さんに小さく返事をした。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

弟「あれ、Aさん起きてて大丈夫なの！？」

「おかげさまでだいぶ良くなりました」

兄「もうおっつんにこき使われてんのか」

乙「ちょ、人聞きの悪い……僕も休んでてって言ったんだけど聞いてくれなくて…」

「迷惑かけたので…夕飯の支度くらいはやります」

弟「俺も手伝うよ！」

兄「何すりゃいいの」

乙「君達いつもしないくせに………いいから風呂行っといで！」

はーい、と返事をして兄者さんと弟者さんがリビングから出て行く。乙一さんはお母さんみたいだな。

乙「今お母さんみたいだなとか思ったでしょ」

「えっ…」

乙「ふふ、お母さん君のことも心配だからもう座っていいよ。あとは簡単だから大丈夫」

「…ありがとう」

乙「え、なんか母性本能目覚めたわ今」

思わず口角が上がった。

乙「初めて笑ったね、やっぱ女性は笑ってないとな～」

笑顔を私に向け、キッチンへ戻る乙一さん。
本当に、バーで向けたような裏のある感じがしない。

兄「気ぃつけろ、おっつんは女見るとすぐ口説こうとするから」

乙「まーたあることないこと言うよこの人は」

兄「あることだろこれは」

乙「Aちゃんのことは口説いてません～ただの優しさです～」

どうだかな、と兄者さん。
烏の行水並みに早く風呂から上がったようで、まだ髪が濡れている。

程なくして同じく風呂上がりの弟者さんも席に着いた。

乙「さ、揃ったね。食べよう」

「食べながら、聞いてくれますか。身の上話なので、少し重くなっちゃうかもですけど」

もちろん、と3人が頷く。緊張を破るように、ごくりと唾を飲み込んだ。