Be My Last (ページ20)

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乙「君達そろそろ終わりにしてー」

兄「ま、五分五分ってとこだな」

弟「いや俺八分くらい勝ってるからね」

夕刻のリビングには、おいしい匂いが漂う。
格ゲーで盛り上がっていた兄弟も、その香りに手を止めた。

乙「今夜はパスタ～」

弟「俺の好きなパスタ～」

兄「あの子まだ起きねえの」

冷えたビール瓶を持ってきた兄者は、グラスを取りながら聞く。
弟者はすでに目の前に出されたナポリタンにありついていた。

乙「うん、ちょっと熱もあるっぽいからね……何、気にしてるの兄者」

兄「いやそりゃあ……あんなに弾受けられたら気にもなるだろ」

弟「最初あんなに警戒してたのにね、兄貴」

乙一と弟者は顔を見合わせ笑う。
むくれた兄者は、グラスに注いだビールをぐいっと飲み干した。

弟「警戒といえば…Aさん相当警戒してるね」

兄「そりゃそうだ」

乙「俺もまだ信用してないよ、半分くらいは」

弟「ええ？なんでよ」

乙「万一があるでしょ万一が…第一、あの子のことまだ何も知らないんだよ俺ら」

弟「それはそうだけど…乙一さんも分かるだろ？あの人が悪い人じゃないって」

兄「やっぱ惚れてんだろ」

弟「いやそーいうのじゃないから！」

乙「とにかく、俺は君らが大事なのよ。だから最低限警戒するし…」

真面目な顔でそう呟いた。今度は兄弟が顔を見合わせる。

弟「乙一さん、愛重いな…」

乙「はい？」

兄「だからすぐ振られんだよ」

乙「あーもー知らない、こんだけ尽くしてあげてるのに君達ときたら…ふふっ」

その笑い声を皮切りに、3人で笑い合う。
3人の中でも特に慎重な乙一だが、今回ばかりは確かにシロな気がしていた。

乙「ま、話聞いてみてだね」

弟「ふふ、はやく起きないかな」