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別の仕事があるらしく、私を家に送った後乙一さんはすぐ出て行った。
ひとり居間に戻ると、青い髪の後ろ姿がソファにぽつり。

「ただいま戻りました」


兄「おかえり。飯食ったか?」


「はい」


兄「俺もなんか食うかなー」


「…作りましょうか?」


兄「え、いいの?頼むわ」


普段料理という料理はしないが、仮で勤めていたあのショーパブでキッチンに立っていた経験が、ここで活きることになるとは。

余り物を冷蔵庫から取り出し作業しようと思った矢先。
兄者さんが同じくキッチンに立ってこちらを見ていた。


「どうしたんです?」


兄「いや、なんか手伝おうかと…」


「大丈夫ですよ、座っててください」


兄「それ、切るくらいならできる」


「…じゃあお願いしますね」


正直、彼は3人の中で1番話しにくい。
私も彼も、積極的に話す方ではないしそれに…ちらりと兄者さんを見る。


「まだ、痛みますか?」


兄「ん?ああ…いや、そうでもねえよ」


兄者さんの首と手に巻かれた包帯。紛れもなく私がつけた傷。敵だったとはいえ、それを見るたびいたたまれない気持ちになる。


兄「気にしてんの?」


「いえ…敵だったので仕方ないとは思うんですけど…」


兄「けど?」


「痛そうだなって…」


兄「ぶっ」


続く言葉を探していると、兄者さんがいきなり吹き出し笑い始めた。


「え、なんか面白いとこありました?」


兄「いや…お前の方が痛そうだろ…!」


ああ、そういう。弾受けるのより、細い切っ先で斬られる方が痛いじゃないですか。そう補足するとまた笑われる。


兄「あー、おかし。変わってんなお前」


「そうですかね」


兄「…なあ、なんであの時俺を庇ったんだ?」


「うーーん……裏切られた時、敵は兄者さんたちより恵比寿だ、と強く思って…そしたら押しのけてました。
庇ったつもりはなかったですが、結果的に良かったです」


兄「咄嗟か…」


「気にしてるんですか?」


兄「…まあ、そりゃあな」


「ふふ、お互い気にしてましたね」


兄「…おあいこってことか。その分これから助けるし、助けてくれよな」


「はい、任せてください!
…さ、話してるうちにできました。不恰好ですがオムライスです」


兄「おう。サンキューな、A」


そういって頭をぽんと叩かれた。
兄者さんとの距離が縮まった、そんな昼下がりは、穏やかに過ぎていった。

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キエ(プロフ) - ユメさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます! (2019年4月29日 22時) (レス) id: 7ecf668470 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ - 内容こってて好きだな (2019年4月29日 1時) (レス) id: 8bc30f3fbe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キエ | 作成日時:2019年3月31日 22時

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