38話 名前のない関係 ページ40
〜伊黒side〜
Aは、俺の言葉が信じられないというような目をしたまま、何も言葉は発さない。ただ、俺の話にじっと耳を傾けているようだった。
伊黒「前にどうして継子にしたのかと聞かれたことがあったな、その時確か俺はお前を継子にしたのは才能を感じたからだと言ったが、
あれの半分は嘘だ。
お前を俺のそばに置いておきたいと思った。
それがお前を継子にした本当の理由かもしれない。」
俺の口からは次から次へと今まで言えなかった言葉が溢れてくる。
伊黒「それにAと出会ったあの日、あまりにも儚げな姿にあのままお前を離したらそのまま消えてしまいそうな気がした。
俺は最初お前がそばにいてくれるだけで満足していた。心が満たされていた。
でも、段々満たされなくなってしまったんだ。
お前の様々な一面を知るたび、
俺はお前に惹かれる気持ちに歯止めが効かなくなってしまった。
欲深い人間になってしまったのだ。
だが、こんな穢らわしい血を持った俺が誰かを愛していい訳がない。幸せにできる訳がない。
それは、自分でもわかっていた。
だから、何度も何度もこの想いに蓋をした。
俺の心の奥深くに隠そうとした。
でも、できなかったんだ。
出会った日のような儚さを持ったAを見ると、
俺が守ってやりたいと思ったし、
明るく笑うAを見ると、
俺がお前の幸せを感じる理由になりたいと思った。
お前が俺のために何かをしてくれる度、
もしかしたらお前も俺と同じ気持ちなのではないかと心のどこかで期待した。
そして、
愛おしい気持ちが溢れて止まらなかった。
日に日に俺の中で
Aという存在が大きなものになった。
そこまでならよかったが、
強欲な俺は、
お前の中の俺という存在も同じように少しでも大きく育てたくなったのだ。
勘違いさせるようなことはするなと、お前が怒るのも無理もない…
俺がそう仕向けたのだから…
Aとの関係に名前はつけなくなかった。
でも、俺はお前の男になりたかったのかもしれないな。
ったく、俺は卑怯な男だ。
幸せにできないとわかっていながらも、
特別でいたい。そう願ってしまうのだから。
そして、卑怯で臆病な俺は今のこの瞬間も、
こんな俺にAが失望してしまうのではないかと恐ろしくて堪らない。
そのくらいまでに俺は、
A、お前のことを愛している。」
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みぃたん(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます!続編はもっともっと楽しんでいただけように、がんばって書きます♪ぜひぜひ覗いてみてくださいね! (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - ドラゴンちゃんさん» 応援ありがとうございます!続編も少しずつではありますが更新していきますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです♪ (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - 夏蜜柑さん» 続編も伊黒さんの魅力たっぷりに書けるようにがんばりますね♪いつもありがとうございます! (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - カンナさん» ありがとうございます!伊黒さん素敵ですよね!またよろしければ続編も見てくださると嬉しいです♪ (2020年2月3日 23時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - うわあああ(嬉しさの叫び) 楽しかったです!推しは伊黒さんです!楽しかったです!(大切なことなので二回言いました) (2020年2月1日 22時) (レス) id: 618a98841b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みぃたん | 作成日時:2020年1月13日 11時