37話 男の想い ページ39
〜伊黒side〜
俺の言葉にさっきまで顔を伏せっていたAは顔を上げる。涙を溜めながらも真っ直ぐに俺を捉える彼女の瞳は熱を持っていた。
そんなAを見ると、
今すぐ彼女を手に入れたい…
自分のものにしたい…
男としての本能が先走りそうになる。
だが、必死に自分を落ち着かせた。
せめてAには俺のこの想いをきちんと伝えたい。
こんな俺だからこそ、俺にできることは全てしたいと思った。彼女を大切にしたいのだ。
そして、この想いの全てがきちんと彼女に伝わるように、嘘偽りなく一つ一つ丁寧に言葉を紡ぐ。
伊黒「俺にはずっと想い人がいた。
太陽のような笑顔でこんな醜い俺にも分け隔てなく接してくれる明るい女だった。
俺はそんな明るい彼女を好いていた。
そして彼女を見るたびに、俺もいつかそうなりたいと叶わぬ願いを抱いていたんだ。」
Aは、
それ以上何も言わないで、
そう言わんばかりの表情をしていた。
が、俺は続けた。
伊黒「それが甘露寺だ。だから、お前の言っていたことはあながち間違いではない。」
Aはこの事を全てわかっていたかのように、
ぽろぽろと何も言わずに大粒の涙を流していた。
彼女の涙を指で拭いながら、俺は続ける。
伊黒「だが、俺はある日一人の女に出会ったんだ。
その日は、一面の雪景色にするような寒い日でな、
空には美しい満月がこれでもかというほど青白く輝いていた。その月も息をのむほど美しかったが、
その女を一目見た瞬間、本当に時が止まったように感じたんだ。
その姿はとても美しかった。
言葉では言い表せない程に…
けれど、今にも消えてしまいそうなその女に俺は今まで感じたことのない何とも言えない気持ちになってな、
放っておけないと思った。
守りたいと思った。
そばにいてやりたいと思った。
そして、
俺が涙を拭ってやりたいと思った。
こうやってな。」
Aの頬に手をやると、
彼女は目を大きくした。
伊黒「すぐに俺は名前も知らないその女に抱いた感情と甘露寺に抱く感情が違うことに気付いたんだ。
甘露寺への想いは憧れに過ぎなかったということに。
そして、その女へ抱いた感情は
一目惚れ、そんな言葉では表したくないが、
俺という一人の男としてのものだとすぐにわかった。
その女と言うのは、
もう気付いてるだろうが…
A。お前のことだ」
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みぃたん(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます!続編はもっともっと楽しんでいただけように、がんばって書きます♪ぜひぜひ覗いてみてくださいね! (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - ドラゴンちゃんさん» 応援ありがとうございます!続編も少しずつではありますが更新していきますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです♪ (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - 夏蜜柑さん» 続編も伊黒さんの魅力たっぷりに書けるようにがんばりますね♪いつもありがとうございます! (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - カンナさん» ありがとうございます!伊黒さん素敵ですよね!またよろしければ続編も見てくださると嬉しいです♪ (2020年2月3日 23時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - うわあああ(嬉しさの叫び) 楽しかったです!推しは伊黒さんです!楽しかったです!(大切なことなので二回言いました) (2020年2月1日 22時) (レス) id: 618a98841b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みぃたん | 作成日時:2020年1月13日 11時