10話 月と酒 ページ12
ある晩のことだった
師範が初めて目にする瓶を手にしていた。
深緑に輝くガラスでできた瓶。
美しく光るガラスに思わず目を奪われる。
しかし、それよりも気になるのは瓶の中でキラキラと揺れ動く真紅の液体だ。
A「師範、これは一体なんですか?」
私はその瓶を見つめながら師範に聞く。
伊黒「これはワインという酒だ、Aにはまだ早い」
A「そんなことないです!私だってもう立派な大人だし… というか、珍しいですね、師範がワインって」
そう頬を膨らませながら、師範を見つめる。
伊黒「この前、任務で助けた男が酒蔵で働いていたみたいでな、礼で貰った。」
ふぅーん
でも、あれだな、ワイングラスを持つ師範
絵になるな
一つ一つの仕草に品があって、目が離せない。
伊黒「ほらA、お前は飲まないのか?」
A「えっ、」
驚いたのも束の間
伊黒「Aお前は師範に一人で酒を飲ませるのか?酒には美しい女の酌がかかせないだろう?」
そう彼は私に微笑みかけた。
A「し、失礼しました!すぐに、お酌を!」
そう言って師範のグラスにワインを注ぐ。
そして、師範の用意してくれた私の分のグラスにも。
伊黒「Aと初めて会った時も、こんな満月の日だったな、あの時はお前がこんなにもバタバタと騒がしい女だとは思いもしなかった」
フッと師範は笑った。
確かに師範と出会ってから私は変わった。
よく笑うようになった。よく話すようになった。
この何気ない毎日に幸せを感じるようになった。
誰かと共にいる幸せを感じることができるようになった。
どれもこれも、きっと師範のおかげ
でも、なんだかそれを改まって師範に伝えるのはなんだか気恥ずかしくて
A「まーた、師範はネチネチいうんですかー」
そう誤魔化す。
伊黒「でも、今はそんなAの一面も知ることができて嬉しいと思うよ。もう半年経ったが継子としてもよくやってくれている、俺ももう安心だ…」
そう言う師範の目はどこか遠くを見ているような気がして寂しい気持ちになった。
師範はどこを見ているの?
急にポツンと一人ぼっちな気がした。
一人ぼっち…
いや、
一人は嫌だ…
師範、
誰か、
私を一人にしないで…
そんな今の気持ちに連鎖するように、
師範に出会ってから忘れかけていた
幼少期の記憶が蘇ってきた。
258人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みぃたん(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます!続編はもっともっと楽しんでいただけように、がんばって書きます♪ぜひぜひ覗いてみてくださいね! (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - ドラゴンちゃんさん» 応援ありがとうございます!続編も少しずつではありますが更新していきますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです♪ (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - 夏蜜柑さん» 続編も伊黒さんの魅力たっぷりに書けるようにがんばりますね♪いつもありがとうございます! (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - カンナさん» ありがとうございます!伊黒さん素敵ですよね!またよろしければ続編も見てくださると嬉しいです♪ (2020年2月3日 23時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - うわあああ(嬉しさの叫び) 楽しかったです!推しは伊黒さんです!楽しかったです!(大切なことなので二回言いました) (2020年2月1日 22時) (レス) id: 618a98841b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みぃたん | 作成日時:2020年1月13日 11時