34話 冷静ではいられない ページ36
〜伊黒side〜
A「ご、ごめんなさい!」
俺の横を目も合わせずに通り過ぎたAは今にも壊れてしまいそうな表情をしていた。急にそんな表情をして、出て行ってしまったA。
俺はすぐに状況が理解できなかった。
何かしてしまったか…?
俺が彼女にそんな表情をさせたのか…?
冷静ではいられなかった。
俺は焦りながら、今までの自分の言動を思い返す。
甘露寺「…………さん」
伊黒「………」
甘露寺「伊黒さん!!」
はっ
Aのことになると、こんなにも冷静でいられなくなるのか。周りをみる余裕すらなくなるなんて、
自分自身を埋め尽くす彼女の存在の大きさを痛感した。
伊黒「すまない、なんだった?」
すると、甘露寺は困った表情をした。
そして、言葉を慎重に選びながらという様子で話す。
甘露寺「あの、こんなこと言いにくいんですけど、」
数秒間沈黙の時間があった。
甘露寺「Aちゃん、私と伊黒さんの間に何かあるって勘違いしたんじゃないかしら」
伊黒「どういうことだ?」
甘露寺「その…私、お風呂借りてますし…」
俺は焦りからか、甘露寺の話を遮るように事実確認をする。
伊黒「それは出掛けていた時に突然雨が降ってきたからだろう。甘露寺に風邪をひかせるわけにもいくまい。」
だが、甘露寺は恥ずかしそうな表情をしながら、続ける。
甘露寺「伊黒さんもそんな格好ですし…」
伊黒「それは、すまない。悲鳴が聞こえたものだから、着替えの途中で出てきてしまった…」
甘露寺「しかも、ここからだと伊黒さんの部屋が見えるんですけど…」
伊黒「それがどうした?」
甘露寺「お布団が、その、乱れてて、あの…
事後みたいに見えるかなって、きゃっ」
甘露寺は恥ずかしそうに顔を覆う。
事後…だと…
俺は言葉を失った。
だが、甘露寺の指摘した部分だけを見るとそう考えることもできなくはない…
伊黒「はぁ…」
俺は一呼吸おいて、心を落ち着かせる。
ったく、どれだけ師範に世話を焼かすんだ。
うちの継子は。
だが、ふっと自然に笑みが漏れた。
甘露寺「伊黒さん?」
伊黒「あぁ、すまない。師範を困らせる愛らしい継子のことを考えていた。」
甘露寺「………伊黒さん、今とってもいい表情をしてます。とてもとても幸せそう。素敵。キュン」
幸せそう?
あぁ、そうか。これが幸せというものなのか。
伊黒「甘露寺すまない。Aを探してくる。」
俺は急いで屋敷を出た。
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みぃたん(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます!続編はもっともっと楽しんでいただけように、がんばって書きます♪ぜひぜひ覗いてみてくださいね! (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - ドラゴンちゃんさん» 応援ありがとうございます!続編も少しずつではありますが更新していきますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです♪ (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - 夏蜜柑さん» 続編も伊黒さんの魅力たっぷりに書けるようにがんばりますね♪いつもありがとうございます! (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - カンナさん» ありがとうございます!伊黒さん素敵ですよね!またよろしければ続編も見てくださると嬉しいです♪ (2020年2月3日 23時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - うわあああ(嬉しさの叫び) 楽しかったです!推しは伊黒さんです!楽しかったです!(大切なことなので二回言いました) (2020年2月1日 22時) (レス) id: 618a98841b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みぃたん | 作成日時:2020年1月13日 11時