44話 探し物 ページ7
私は今ルパンに向かっている。今は夕暮れ。いつ安吾がいるのか、治たちがいるのかわからないから確実にいないであろう夕暮れに来た。
ああ、安吾と話ができるのか。久しぶりだなあ。そう思うとにやけが止まらないよ。何を話そうかなあ。
なんて考えてるとすぐだな。もう、ルパンについてしまった。
ガチャ
「こんにちは〜。やあ、マスター久しぶりだねえ。あれ?海斗君は?」
マスター「海斗は最近ここを辞めました。」
「ありゃ、そうなの。いい子だったのに〜。」
そう言って席に座る。それと同時に金色の液体が目の前に置かれる。
「今日はねえ、とっても楽しく悲しい日なんだよ。マスター。」
マスター「・・・・・」
「…反応しておくれよ、マスター。せめて三人が来ない間は。そうしないと自分の感情に押し流されそうだ。」
なんで裏切ったんだ、安吾。君は『仕事だから』とどこまで自分を抑え込もうとしてるんだい。
本当の思いを私だけでもいいから吐き出してくれないかい?
マスター「では、世間話でも愚痴でも何でも話してください。」
「…ありがとう。マスター。」
私はこれまであったことをマスターに話した。
治の自〇癖がなかなか治らず困っていること。書類整理をし終わったとたん図ったように首領が仕事を押し付けてくること。
いろんなことを話した。それをマスターはただ静かに、頷きながら聞いてくれた。しばらく話していると、
ガチャ
ドアの開く音がした。
???「今晩は。久しぶりに飲みに来ました。」
「ははっ、ほんとに久しぶりだねぇ。安吾君。治たちが来る前にたっぷりと私と話そうか。」
安吾「・・・お手柔らかにお願いします。」
「まず、君は特務課のエージェントだね?」
安吾君の指がぴくっと動いたが、それ以外は動かない。流石といったところだな。
安吾「ええ、そうです。本当は言ってはいけないんですけどね。」
「ねえ、安吾君。それで君はどうするんだい?」
安吾「どうする、とは?」
「君は私たちを裏切るの?と聞いているのだよ。」
安吾君が顔をゆがませる。
安吾「仕事ですからね。…ですが、本心としてはこんな仕事やりたくもない。貴方たちとこんな風にいつまでも幸せに飲んでいたい。」
「そうかい。君はため込みすぎるんだよ。苦しくなったら吐き出せ、何のために私が君より早く店にいたと思ってる。」
あらら、安吾君泣いちゃった。でも今はそれでいい。大丈夫、彼たちはまだ来ないよ。
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樹羅 - 軍× 区〇 ですよ? (2022年6月11日 17時) (レス) @page43 id: aaaba77e75 (このIDを非表示/違反報告)
八月猫の気紛れ日和(プロフ) - 60話からいきなり飛んで70話になってますが61〜69話はどこにあるのでしょうか? (2020年4月30日 19時) (レス) id: b673373efc (このIDを非表示/違反報告)
クレハ - 月煌さん、有難うございます!頑張ります! (2019年4月14日 21時) (レス) id: ddd19fa939 (このIDを非表示/違反報告)
月煌(プロフ) - すごく良い話ですね!続きとても楽しみです。これからも頑張ってください!! (2019年4月14日 20時) (レス) id: 5c7616bba1 (このIDを非表示/違反報告)
クレハ - 黒白さん。出来る限り善処します! (2019年3月23日 15時) (レス) id: ddd19fa939 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレハ | 作成日時:2019年3月3日 14時