テスト ページ6
うだるような暑さの中、進級をかけたテストが開始された。
テストは、筆記試験と実技試験がある。
筆記試験は薬草学、魔法史、天文学、魔法薬学の４つ。実技試験は変身術、妖精の魔法、闇の魔術に関する防衛術、飛行術の４つ。
筆記試験は、内容さえ違えど、日本の学校と同じ様な物だった。その中でも、魔法界ならではというか、面白かったのは、薬草学。
薬草学の試験は「忘れ薬」の作り方を思い出して、回答する、というものだった。忘れさせる薬を思い出せ、とは如何に。
実技試験は、当り前だが魔法を使った。
例えば、妖精の魔法の科目では、担当教師のフリットウィック先生が生徒を１人ずつ教室に呼び入れ、パイナップルを、机の端から端までタップダンスさせられるかどうかを試験した。
例えば、変身術の科目では、ねずみを「嗅ぎたばこ入れ」に変える事が試験だった。髭の生えたもの、尻尾が出ている物――――つまり、ねずみらしさが残っている物は、減点された。
最後の試験は魔法史で、問題数としては少なかった。最後の問題が１番配点が大きく、「鍋が勝手に中身を掻き混ぜる大鍋」を発明した、風変りな老魔法使いたちについて答えよ、というものだった。
Aは、試験用にカンニング防止の魔法がかけられた特別な羽ペンを机に置く。そして、こっそりと息を大きく吐いた。
魔法史の最後の問題を解き終わった。これで、終了だ。
でも、念には念を。
Aは、もう１度解答用紙を見つめる。文章的には可笑しい所はないだろうが……、スペルミスがあったら怖い。
例えば、小文字の
ベルが鳴る。これで、本当に試験は終了だ。紙が浮かんで担当教師の元へ行くのを確認しつつ、ミリセントと目くばせをする。
終わったねぇ。いやぁ、できなかったわぁ。ホントそれぇ。といった具合に。
「終了です」
魔法史担当の、カズバート・ビンズ教授――――ゴースト先生の、その小さな言葉で、その場にいて１年生は一斉にワッと歓喜する。
「どうだった〜？」
「いやぁ、むりむり」
「はぁ？ そう言ってお前、どーせ出来てるんだろ？」
「いや、だからできてないんだって」
バタバタと１年生達が外に出ようと、動き始める。
Aもそれにならって、帰る準備をし始めた。
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年8月6日 16時
