どうもこんにちは日本人と賢者の石です。其の三。 (ページ16)

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行方不明のスリザリン生ページ16

「向こうも探してみろ」

「はい！」

「先生、こっちにはいません！」

　その声で、ハーマイオニーはハッと顔を上げた。彼女の目の前には、数名のスリザリンの上級生達が忙しく駆け回り、スネイプが上級生達に指示を出している。

　何かを探しているのだろうか。

「あら、ハーマイオニー」

「ラベンダー、これどうかしたの？」

　同じグリフィンドール生である、ラベンダー・ブラウンはちょっと肩をすくめる。「昨日の夜に、スリザリンの生徒が1人ベッドからいなくなって、そのままみたいよ」

「スリザリンの生徒が？」

「ね、珍しいわよね」

　ええ……、と頷きながらハーマイオニーは考える。スリザリンの生徒の中で、夜に校内を歩き回る、という校則を破るような生徒がいただろうか。

「あ……」

　ハーマイオニーの口から思わず声が漏れ出た。

　1人だけ、知っている。スリザリン生なのに、ハリーを助けるため、夜中ベッドを抜け出した人を。スリザリン生なのに、他の寮生に優しい生徒を。スリザリン生なのに、スリザリン生らしくない女子を。

　きっと、今回ベッドから抜け出したのは、彼女だろう。

　彼女の名は、A・サトウ。

　魔法使い、魔女の中では珍しい、日本人である。

　だとしたら、Aはどこへ行ったのだろうか。昨日の夜に。自分たちが賢者の石を守るため、ちょっとした冒険をしていたときに。

　どこへ行ったのだろう、とハーマイオニーは眉が垂れ下がる。最近話していなかった、とはいえ心配だ。

　ザワザワとスリザリンの上級生が、あそこはいない、ここもいない、と言い合っている。それを聞く限り、彼らは下の方からAを探しているので、上の階は、まだあまり探していない感じがする。

　例えば、ふくろう小屋みたいな高い塔とかは。

　ハーマイオニーは、そこで、もしかしたら、と考えた。

　もしかしたら、ふくろう小屋にいるのではないか。と。

　彼女はそのまま、スリザリン生達に背を向けて西棟のふくろう小屋を目指す。

　階段を駆け上がる時、ハーマイオニーはそうよ、と1人、納得をしていた。

　ーーーーAが校長先生にふくろう便を送っていたから、校長先生は玄関ホールであった時に、知っていたのよ。それでAはそのまま眠っちゃたのよ。