どうもこんにちは日本人と賢者の石です。其の三。 (ページ12)

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再度、夜へページ12

スリザリン寮の談話室には、いつの間にか、A１人だけになっていた。これは、スリザリン生が、基本的に早く寝てくれるお陰である。

　――――友達を危険な目にあわせるわけにはいかない。

　同日、まだ日が城を照らしていた頃、Aは思考を巡らせていた。

　ハーマイオニー、ハリー、ロンの３人が、怪物犬が守っている物を、夜に確認しに行くのであれば、危ない事だ。そもそも怪物犬に近づくこと自体が危ないだろう。

　Aは、初めて夜に学校を出歩いた時のことを思い出して、自分の腕で身体をかき抱く。

　怪物犬の大きな目、口、そして、あの牙を思い出して。

　Aのまとまった考えは、初めて夜に学校を徘徊しようとしたあの時と、同じだった。

　ハーマイオニー達の安全のために、夜、例の部屋に行こう。途中、先生に見つかるようになるだけ足音高らかにして。先生に見つかった方が、先生がハリーを見に行ってくれる。こっちのほうが、ずっと安全だ。

　Aはパジャマの上に適当なパーカーを引っかけて、ゆっくりとスリザリン寮のドアをスルリと通り抜けた。

　不思議な事に、階段を上れば、高窓から月が出ているのが見えた。月の光が廊下に縞模様をつくっている。

　四階の、例の部屋に行くまで、アヤノは先生か管理人のフィルチに見つかるように、足音高らかに進んでいたのだが、なぜか誰にも出くわさなかった。

　Aのは足を止める。彼女の目の前には、例の――――怪物犬フラッフィ―の部屋がある。中から、雷の様なゴロゴロという音が聞こえる。フラッフィ―が起きているのか、はたまた、いびきをかいているのか……。

　後者だということを願いながら、Aはドアノブに手をかけ、少しだけ引く。しかし、ガっと音がドアノブからして、止まった。――――鍵がかかっている。

　Aは懐から杖を取り出し、一息おく。

「アロホモラ」

　カチ、と鍵が開く音がした。Aは、もう一度、ゆっくりと冷たいドアノブに手をかける。もう一度、自分を落ち着かせるために、息をつく。その時に、己の手が細やかに震えているのがわかった。ドクドクと、心臓がうるさいくらいになっているのが、わかった。

　カチャリ、と静かにドアノブを回す。そして、静かに、手前へと引く。

　そこにあったのは、目だった。巨大な目が、たった今戸を開けた犯人を映している。