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はっきりといいます。薄暗い教室、目の前に立っている少女は背筋を正して真っすぐとスネイプの目を見た。
「先生、ハリーを守ってください」
沈黙が地下教室いっぱいに広がった。聞こえるのは何かを煮る怪しげな音だけ。その間もAはただスネイプの目を見続けている。
「それは」
沈黙を破ったのは。教授の方だった。何故、ハリーを守らなければならないのか、とスネイプ教授は問う。
少女はそれに、少し視線をうろつかせた後、実は、と切り出す。
「三階の、行っちゃいけない部屋の、フラッフィーと」
ニコラス・フラメルが関係している物の事なんですけど。声を落として言えば、いつもあまり動かないスネイプの表情が少しだけ動く。
そしてまたしても、の沈黙。
沈黙をまたしてもスネイプ自身が、ふむ、と言って破った。
「知ってしまったのであれば、隠す必要もない……。しかし」
そこでスネイプはAを脅す様に肉迫する。「それは、他の者に言ってはならない。絶対に」
Aはコクリ、と小さく頷く。「はい」
正直に言えば、先生の肉迫に頷くしかできなかった。
「しかし、そうだとしても――――ポッターとそのお仲間が知っていたとしても、なぜ我輩が守らなければならないのかね？ 彼は愛すべきグリフィンドール生だ。マクゴナガル先生に頼めばいいのではいいだろう」
帰り給え。戸を指さすが、Aは首を横に振った。
「先生じゃなきゃダメです」
スネイプは眉を上げる。それをAは気にせずに、早口で話し始める。
「ハリーは、なんて言うか……察しが良いから、先生以外の先生がいきなり彼を守り始めたら、気が付く……と思うんです」
少女曰く、あなたなら変わらないから気が付かない。
その言葉に教授は目を細めた。「我輩なら、なぜ変わらないというのかね」
「だって」
先生はハリーを守っているんですよね。
女子生徒の前の教授は何も言わない。沈黙は、肯定と同じである。
「マフリアート、耳塞ぎ」スネイプ先生が扉に向かって――――正確には扉の向こうにいるかもしれない人に、魔法をかける。
「どうしてわかった」
そしてそれからAに向かい合った。さっきの魔法は、これから話す話が、他の人に聞こえないようにするための魔法なのだろう。
Aはもう一度背筋を伸ばした。
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年6月3日 19時
