声が被る ページ35
A、スネイプを疑わずに誰を疑うってんだ？ ロンにそう言われたのでAは顔を少しだけしかめる。
「あいつ、ハロウィーンの日、三頭犬の裏をかこうとして噛まれたんだよ。何か知らないけど、あの犬が守っているものをスネイプが盗ろうとしたんじゃないかと思うんだ」
ハリーが言う三頭犬とは、あの学校を疾走して入った立ち入り禁止の部屋にいた『怪物犬』のことだ。そして確かに、ハリーが『クィディッチ今昔』という本をスネイプ先生に募集された時、彼は足を引きずっていた。
「でも――――」
「なんでフラッフィーを知ってるんだ？」
でも、それだけでスネイプ先生って決めつけないでくれる？ と反発しようと口を開いたのだが、声の大きいハグリットに遮られてしまった。
「フラッフィー？」四人の声が重なった。
「えええ……本気で言ってる？ ハグリット。『モンスター・ドックちゃん』の間違いじゃなくて」
「もちろんだ、A。間違いじゃねえ。そう、あいつの名だ――――去年パブで会ったギリシャ人のやつから買ったんだ――――俺がダンブルドアに貸した。守るため……」
「何を？」
ハリーが身を乗り出して聞く。もちろん、あの時の怪物犬、もとい、フラッフィーが何を守っているのか、をだ。あんなに大きくて強そうな犬だったのだから、なにかとーっても大事名ものを守っているに違いない。
しかし、ハグリットは手を振って、もうこれ以上聞かんでくれ、重大秘密なんだ。と答えるのを断った。だけど、とハリーは言う。
「スネイプが盗もうとしたんだよ」
Aとハグリットは声がよく被るらしい。ハグリットは「バカな」と繰り返して、Aは「だーかーらぁ」とイライラとした声を出した。
「スネイプはホグワーツの教師だ。そんなことをするわけなかろう」
「そうそう。っていうか盗もうとしてるんなら校長先生が気付いてるはずだし」
そして、ハーマイオニーとロンも声が被った。
「Aは自分の所の先生だから認めたくないだけだろ！」
「ならどうしてハリーを殺そうとしたの？」
これにはAも一瞬、何も言えなかった。
「ハグリット。私――――Aもだけれど、呪いをかけているかどうか、一目でわかるわ。たくさ本を読んだから」
Aが杖を使わなくても魔法、呪いをかけられる、という事を知ったのは、皮肉にもハーマイオニーと喧嘩をし、スリザリンで孤立していた時であった。
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年6月3日 19時
