試合終了 ページ34
クィレル先生にAに平謝りしながらハリーを見た。ハーマイオニーに関しては誤りもせずにグングン前に進んでいく。
「それよ！ そうよ……あの炎を使って……ローブをちょーっと燃やせば……」
先生たちの後ろへ回って、Aとハーマイオニーはうずくまった。そしてAの隣でハーマイオニーは二言三言しっかり言葉を選んで呟いた。
ハーマイオニーの杖から青い火がポッと出て、一気に高く燃え上がった。三十秒もかからなかったのではないか。
ローブを燃やされた本人――――スネイプ先生は気が付いたのか、慌てて飛び上がり踏んで消そうとする。
上手くいったのだ。
Aはハーマイオニーと再度上を見上げ、ハリーを見る。彼は無事にもう一度箒を乗りこなせるようになっていた。
ちゃんと上手くいったのだ。
箒が落ち着くと同時にハリーは一気に急降下して、見えなくなってしまった。
「A！ 戻りましょう」
「うん！」
事がどうなったのか。Aとハーマイオニーは、詳しくはわからなかったが、ハリーが箒から降りて、地面に四つん這いになって苦しんでいるところを見た。
「ハーマイオニー、もしかして……うまくいかなかった？」
「まさか……！」そう言う彼女の顔も不安そうだ。
その刹那、実況をしているジョーダンが嬉しそうな声を上げた。
「グリフィンドール、１７０対６０で勝ちました！」
そして目に入って来たのは、ハリーが頭上高く金のスニッチを振りかざしているところだった。Aは今度こそ上手くいった、とホッと胸をなでおろした。
「スネイプだったんだよ」ロンが説明する。
Aはハリー、ロン、ハーマイオニーと初めて森番ハグリットの小屋に来て、ハグリットが淹れた、熱く濃い紅茶に口付けていた。
ハグリットは、Aがスリザリンだとわかると、まあ、少しだけ困惑したような顔をしたが、他の三人と同じ扱いをしてくれた。良い人だと思う。
「ハーマイオニーも僕も見たんだ。――――多分、Aも。な？ A」
「うー……うーん、まあ。ぶつぶつ言ってた」
「そうさ！ 君の箒にブツブツ呪いをかけていた。ずっと君から目を離さずにね」
バカな、というハグリットの声と、ちょっと待って、というAの声が被った。
「なんでスネイプがそんなことをする必要があるんだ？」
「もしかしてスネイプ先生を疑ってる？ 本気で？」
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年6月3日 19時
