試合開始 ページ31
次の日、午前十一時過ぎ。
Aはミリセント、マルフォイ、パンジー、クラッブ、ゴイルとクィディッチの競技場に向かっていた。学校中のほとんどの生徒が向かっているらしく、中には双眼鏡までも持ってきている生徒もいる。
マルフォイも手に持っていた。
クィディッチは空中戦なので、上の方が見やすいだろう。というマルフォイの提案でA達は上の方を陣取った。
顔を上げれば、ちょうど反対側にハーマイオニーだとわかる髪の毛が見えた。それと『ポッターを大統領に』と書かれた少しボロついた大きな旗も。
フン、とマルフォイが鼻を鳴らす。
「あんなもの作ってどうするんだ？ ポッターが――――グリフィンドールが負けたらどうするんだ？」
マダム・フーチが競技場の真ん中で待っている。彼女が審判だ。そこにそれぞれのチームの色のローブを着た選手が入場してくる。スリザリンが緑で、グリフィンドールが赤のローブだ。
選手たちが一斉に自分の箒に乗る。
その瞬間、ピーッと高く長くマダム・フーチが笛を鳴らす。十五本の箒が空へ舞い上がった。
「さて、クァッフルはたちまちグリフィンドールのアンジェリーナ・ジョンソンがとりました――――なんて素晴らしいチェイサーでしょう。その上かなり魅力的であります」
試合開始と共に始まった実況は、双子のウィーズリーの仲間、リー・ジョーダンによるものである。マクゴナガル先生が彼の隣で目を光らせている。
「ジョンソン選手、突っ走っております。アリシア・スピネットンにきれいなパス。オリバー・ウッドは良い選手を見つけたものです。去年はまだ補欠でした――――ジョンソンにクァッフルが蛙、そして――――あ、ダメです。スリザリンがクァッフルを奪いました」
スリザリン生がワッと歓喜する。そして、あぁ〜……と落胆する。
スリザリンチームのキャプテン、マーカス・フリントがゴールを決める、かと思われたのだが相手のキーパー、オリバー・ウッドがストップしたのだ。
「グリフィンドール、先取点！」
グリフィンドール生の大歓声が寒空にいっぱいに広がった。これで、スリザリン対グリフィンドールは０対１０。
スリザリンの生徒が溜息とヤジが飛ぶ。Aもこれには溜息をついた。
「さて、今度はスリザリンの攻撃です」
スリザリンの選手がゴールを決めそうになる。その瞬間、その場にいた選手全員が止まった。
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年6月3日 19時
