どうもこんにちは日本人と賢者の石です。其の二。 (ページ17)

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最後の最後ページ17

「こんな夜遅くに何をしているのかね？ ――――ミス・サトウ」

　とりあえず一階まで降りてきて、あとは地下に潜り込めば良いんだ、というその時だった。Aの肩が思いっきり跳ねる。

　動かなくなった首を力の限り回して、後ろを見れば、杖から出ている小さな光に照らされて、気難しい顔のスリザリンの寮監――――セブルス・スネイプ先生が立っていた。ひょえっと息を飲む自分の教え子を冷たい黒い目で見ている。

「――――何をしているのかね？ミス・サトウ」もう一度聞かれる。

　Aの口からは、いえ、とか、あのう、とかの言葉しか出てこない。頭だって働いてくれない。

　スネイプ先生が溜息をつく。それにまたAの肩が跳ね上がる。

「まさか、我輩の寮生が規則を破るなどとは……前代未聞のことですぞ」

「……すみません」

　スネイプ先生と、目が合わせられない。

　罰則が怖い、先生の目が怖い、減点されるのが怖い、減点されるのが恥ずかしい、先生と皆を幻滅させることが恥ずかしい――――……。

　強く、箒に乗った時の様に力の限りパジャマを握りしめる。あの時と違うのは、なにか、熱くて痛い物が目のあたりを登ってくることだ。

「スリザリン、５点減点」

　スネイプ先生のその言葉にAはハッと顔を上げた。そこで教授を目が合う。

「本当なら、一気に１０点でも２０点でも減点できる。それなのに５点減点ですんだのだ」

　だから、喜べとでも言うのだろうか。

　スリザリン生はスネイプ教授のおかげで、薬草学で減点をされたことは一度だってなかった。それに、スリザリン生の多くは、自分の身が一番大切だ、とごくごく当たり前のことを思っているので、早々簡単に違反をしたりすることがない。

　つまり、これまでクラップやゴイルが１点やら２点やらを減らすのは当たり前だったが、しかし。たった一晩で５点も引かれる、というのは、スリザリン生にとって有り得ない事だった。

　顔面蒼白になるAをスネイプ教授はただただ見下ろしている。まるで何を言ってもこの結果は覆らない、とでも言うように。

　はくはくとAの口が動くが、何の音も、ましてや言葉なんて出なかった。

　今のAに出来ることは、寮のベットに入って、どうやって一気に５点も減らされてしまったことをマルフォイ達に説明しよう、と考えることだけだった。