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「……何言ってんだ、雑頭」
「さっき、アダムとイブの話が出てきたからてっきり千空とAの子どもが増えていくのだろうと思ったんだが……」
漸く大樹の言葉の意味を理解する。千空の"ストーンワールドのアダムとイブになってやる"という壮大な発言から、その発想に至ったらしい。
「……わたくしと千空の子どもを増やしていくのは得策ではないわね。この世界ではリスクが高過ぎるわ」
医療技術が日々発展していた3700年前ならまだしも、原始に戻ったこのストーンワールドで出産は命懸けだ。母子ともに死亡する可能性も大いに有り得る。
「それに、気が早すぎよ。お互い考えてもいないわ」
一緒にいた期間は長くても、恋人として過ごしたことはない。このストーンワールドで一緒に住むようになっても毎日生活するのがやっとだ。
ねえ、と千空に話を振ると。
「今すぐじゃねえけど、俺はガキ作るつもりだったぞ」
今度は彼が爆弾を投下した。
「千空、千空、色々と飛躍し過ぎです」
「あ゙?こっちはガキの頃に一目惚れしてから、結婚から老後までの人生設計考えてんだよ」
「あらあら、そうなの……」
千空の新たな一面に頭が追いついていかない。わたくしも千空と結婚してゆくゆくは……とは思っていたけど、流石に老後までしっかりと考えてはいない。
まさか合理的主義がここに反映されるとは。
「……嫌か?」
わたくしの反応が薄かっただろうか、千空は不満げだ。
「そこまで考えてくれていたことに驚いただけよ。………でもまだその計画のスタートは待って頂戴」
「……秋霖起こして挨拶してからか?」
「そんなことしなくても、家族全員千空と家族になる気満々よ。……旦那様になってしまったらお父様になるまであっという間じゃない」
"まだ暫くは貴方に恋人として可愛がってもらいたいわ"。
そう告げると千空は唸りながら髪をガシガシと乱す。
「爆弾投下するんじゃねえよ……!」
貴方のに比べたらマシよ。
「……子を産み育てることも難しい世界になったんだな」
「"七つまでは神のうち"が現実味を帯びてくるわね」
「乳児の死亡率が下がったのは戦後やっとだからなぁ。何をするにしても、俺達は200万年を駆け上がらなきゃならねえ」
いったい200万年を何年で駆け上がらなければならないだろう。
わたくしはこれから訪れる日々が大変なものになるということしか想像出来なかった。
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御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね! (2021年3月30日 7時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ! 頑張って下さい ! (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御影ゆき | 作成日時:2020年5月23日 20時