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突然パキッと音がして右目に映ったのは、何千年ぶりかもしれない空だった。
「なるほど…人類は石化して文明は崩壊。地球はまた原始からスタートしたのね」
服は風化してしまったから、手近な植物で身体を覆う。取り乱すのが普通だろうけど、わたくしの心は凪のように静かだった。
ずっと意識を保って何歳も歳を重ねてしまったからだろうか。
「さて……今は空の色から見て夜明け直後。日暮れまで人探しをしてみましょうか」
一人だと独り言が増えるものね。
すっかり日が昇って辺りが明るくなった頃。
木の間から漸く人工物を見つけた。
「…あら、ツリーハウス」
近付いてよく見ると、簡素だけどしっかりとした作りをしている。
そして作られてからそう日は経っていない。
人が住んでいる可能性は高い。
"ごめんくださいませ"と口を開きかけたその時、戸代わりの筵が動いた。
姿を現した人物を目にして、静まり返っていたわたくしの心に波紋が広がる。
「………千、空…?」
半ば転がり落ちてくるように降りてきた千空は、わたくしの身体を力強く抱き締めた。
少し痛くて苦しいくらいに力強い抱擁。
それだけでは足りないと言わんばかりに肩口に押し付けられる頭。
大胆不敵だと思っていた千空の思いがけない行動につい笑いが零れる。
それが癪に障ったのか、肩口に埋まっていた赤い瞳がじろりとこちらを睨んだ。
「……何笑ってやがる」
「嗚呼、御免なさい。意外だったものだから」
もっと淡々と出迎えられるものかと、と返すと千空は溜息をついた。
「……こっちはずっと会いてえと思ってたんだ。お姫様は恋しくなかったのか?」
「真逆。ずっと貴方を心の支えにしていたわ」
わたくしがそう告げると肩口に埋まっていた頭が離れ、今度はわたくしの頭が抱き込まれる形になる。膝からかくんと力が抜け、慌てて千空が腰を支えてくれた。
「……ずっと起きていて大人になったと思ったのに………どこかで怖がっていたのね」
心に反して身体は正直だ。
千空が地面に腰を下ろし、わたくしは千空の足の上に座る形になる。
幼い子にするみたいに抱き込まれ、頭と背を撫でてくれる手が心地良い。
"自力で塔から出てきたお姫様を労わって頂戴"と冗談交じりに言うと、"ああ"と優しい声が返ってきた。
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原作介入になると難しくて進みません…
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御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね! (2021年3月30日 7時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ! 頑張って下さい ! (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御影ゆき | 作成日時:2020年5月23日 20時