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 「お待たせ、千空」
 「ん、じゃ行くか」

 出会いから長いもので10年。
 千空は高校生になり、わたくしも高等部に進学した。
 昔からよく一緒にいたけれど、高校生になってから毎週土曜日は一緒に天体観測をするという習慣が新たに付け加えられた。

 もうこの年頃なら交際していそうな距離感なのに、千空から"好きだ"と言われたことはない。
 こうして頻繁に会っているのだから、嫌われていない自信はあるけど、千空がわたくしに抱いている感情は友情であって、わたくしのような恋慕の情ではないのだ。



 いつもの観測地点に到着すると、千空は観測の準備を始め、こちらは寛ぎ空間作りに着手する。
 昼過ぎから始まる天体観測はほぼキャンプに近い。
 まず敷くのは厚手の平織生地のレジャーシート。
 その上に二人用サイズの特大マットと封筒型のシュラフをセッティング。
 本来ならレジャーシートとか椅子くらいで充分だろうけど、この寛ぎ空間は荷物が多くなろうとも譲れない。
 ローテーブルを出したところで、微調整を終えた千空がレジャーシートに上がり込んできた。

 「毎度毎度おありがてえ快適空間だな」
 「ふふ、これを味わったらお一人様天体観測には戻れないでしょ」
 「違いねえ」



 二人で他愛もない話をしていると、あっという間に空はオレンジ色だ。
 わたくしが晩御飯の支度をする間、シュラフの中で俯せになって小難しい科学本を読む千空。

 「まだ夜は冷えますから、しっかりと温めておいてくださいな」
 「おー、任せろ」

 出来上がったスープパスタを皿によそっていると、頃合いを見計らったのか千空がのそのそとシュラフから出てきてわたくしの肩にブランケットをかけてくれた。

 「冷えんぞ」
 「あら、有難う。最近ではこういうのスパダリって言うのでしょう?」
 「あ゙?こんぐらい普通だろ」
 「そういう普通の気遣いが出来ない男性は少なくないのよ。千空は素敵ね」
 「…おー、もっと褒めろ」

 隣同士で並んで晩御飯。
 好きと言えなくても、この空間は心地良い。


─────────────────────
 このお話はTwitterに載せていた『天体観測』という話をこの長編用に書き直したものです。長くなったので一旦切ります。

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設定タグ:Dr.STONE , 石神千空 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね! (2021年3月30日 7時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ! 頑張って下さい ! (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:御影ゆき | 作成日時:2020年5月23日 20時

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