013 ページ14
「デカブツのおヒゲのケアに大活躍してた貝殻だが、ボッコボコの粉々にするだけで──その炭酸ナントカの出来上がりだ」
「おおおおし!体力担当俺に任せろ!」
大樹が凄い勢いで貝殻を集め、それを砕いてあっという間に粉にする。
「ククク…炭酸カルシウムほど唆るもんもねえ」
「千空、貴方結構唆ってばかりよ」
「ツッコミどーも。…あー、仕切り直すぞ。4つも!死ぬほど重要な使い道がある」
そう言って千空が挙げたのは農業、モルタル、石鹸だった。ただの貝殻がこんなにも色んなものに変わるなんて。
「──千空、君は素晴らしい男だ」
司も千空の凄さを実感したらしい。
「復活直後にライオンと戦った時も、あの咄嗟に冷静な現状伝達。君より切れる男を見たことがない。尊敬するよ、心から」
それは紛れもない賛辞。
だけど、何故こんなにもわたくしの頭の中では警鐘が鳴り響くのかしら。
「………何が言いてえ」
千空の顔がどことなく険しい。普段大樹から褒められた時はそんなこと言わないのに。
「困ったな、そんなに深い意図はないよ。君なら本当にゼロから近代文明を作れてしまうかもしれない。うん、ただそう思っただけだ」
重苦しい沈黙が流れる。
それを破ったのは大樹だった。
「で、4つ目はなんだ?貝殻の重要な使い道、4つもあるって言ってたじゃないか」
「いや、3つだ。3つで言わなかったのか?」
千空、何をどう誤魔化したいかは分からないけど、その誤魔化し方は苦しいわ。
「あら、4つって聞いたわ。ふふ、千空でも記憶があやふやになることがあるのね」
千空が鋭い目をわたくしに向ける。余計なことを言うなと言わんばかりに。
「貴方が最初に言ったのよ?白線引きに使えるって。それで4つじゃない?」
千空の口が弧を描く。どうやらこちらの意図を察したらしい。
「よーく覚えてたな。100億万点くれてやる」
手を掴まれてグイッと引き寄せられる。耳元に口を寄せられて、小声で囁かれた。
「ありがとうな、助かった」
「誤魔化せたかは分からないけど。……でもこれから大変になりそうね。彼、貴方とぶつかりそうね」
「……お姫様の勘は嫌になるほど当たるんだよな」
籠を背負った大樹の後を追う私と千空。
ちらりと視線を向けると、司が探るような目でこちらを見ていた。
嗚呼、これは誤魔化せていそうにない。
405人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Dr.STONE」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね! (2021年3月30日 7時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ! 頑張って下さい ! (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:御影ゆき | 作成日時:2020年5月23日 20時