【第三十六話】 ページ40
「な、なななにしてんですか!離して!」
ぎゅうぎゅうと握られた手を引く。
簡単にすり抜けられる様な力ではなく、
可愛らしい見た目の沖田とは不釣り合いの力だ。
普段の隊服ではない、私服姿の袖口から覗く筋張った手首から、
当たり前に毎日一緒にいる沖田も男である事を再認させられる。
「デート中なんだから手くらい繋ぐのが普通だろィ。」
ほら行くぞ、とそのまま歩き出す。
「普通なんですか!?」
「そういうもんだろ。
お前ドラマとか観ないのか?」
お通ちゃんのは観ますけど…と
「でもほら、皆見てるし…
色んな意味で知られた存在だし…」
「周りの目なんて気にするタイプじゃねーだろィ。」
そういうことでは無い。
Aはただ恥ずかしいのだ。
そして、今後の真選組生活の居心地が悪くなる事を
ここから色々発展して間違いでも起きてしまおうものなら、先に首を切られるのはAの方であろう。
親の期待に反して、半ば無理矢理に入った真選組をそんな形で追い出されれば、田舎の父母にも顔向けが出来ない。
街行く人々の中でも時折こちらを見ながら、やっぱりといった顔をする者がいる。
あー、お願いだからこっち見ないで。
町民の中で人気隊士の熱愛が確実となった今、スクープ扱いだ。
この一大デマ情報が瓦版になる未来さえ見える。
「しばらく団子屋行けないな…」
「一緒に行ってやろうか?」
そういうことじゃ無いんだって。
段々と緊張感も解けてきたA。
空に向かって小さく息をついた。
✴︎
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やま - 次の話が気になります!!更新頑張って下さいね (2022年10月13日 17時) (レス) @page40 id: 0e3bc286c0 (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - ☆さん» ありがとうございます!嬉しくて何度も読み返してしまいました笑ゆっくり更新していくので気分転換がてら読んでもらえたら嬉しいです☺︎ぜひまたコメントお願いします♡ (2022年9月4日 10時) (レス) id: 496eb1da56 (このIDを非表示/違反報告)
☆(プロフ) - とっても好きです。21話の夢主ちゃんの言葉が、単純で、重くて、強くて、読んでいて圧倒されました。更新の度にわくわくしながら読ませてもらってます🙇♀️無理はなさらず、頑張ってください💖 (2022年9月1日 20時) (レス) @page25 id: f76d03d4ec (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - まつたけさん» ありがとうございます!最近一段と亀更新ですが楽しんで貰えると嬉しいです!またぜひコメントお待ちしてます☺︎ (2022年8月31日 13時) (レス) @page24 id: 496eb1da56 (このIDを非表示/違反報告)
まつたけ - この小説すごく好きです。 (2022年8月15日 19時) (レス) @page22 id: 796715c198 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:威杜 | 作成日時:2022年6月18日 2時