【第二十一話】 ページ25
静かに席につき、深く腰掛け直す。
「12年って…。
江戸にでてから一度も会ってねぇのか？」
「そうですよ。」
「じゃあ普段なにしてるとかそういうことは？」
「お互いに文でしか知りません。
嘘か本当かもわからないですけど、
まあ毎月文が来るってことは元気でいるんでしょうね。」
家族という物の形は実に様々である。
こんな家庭が存在する事自体を否定するわけでは無い。
だが、家族と呼べる血縁者のない土方にでも分かる。
Aの家庭は家族と呼ぶにはあまりに
ごっこ遊びの様に思えてならなかった。
俺が言えた事じゃねぇが、と前置き言葉を発する。
「お前にとって家族ってのはなんなんだ。」
Aは核心をつかれたように一瞬はっとしたような表情をのぞかせる。
「なんでしょうね。」
「12年も一度も会いにこねぇんだぞ。」
「私にもよく分かりませんよ。
土方さんの思う通り、顔すらまともに覚えていないし、愛されてる実感もありません。」
一呼吸置いて口を開く。
「私、死ねないんです。」
突然の言葉に首を傾げる。
「強く無いといけないんです。誰よりも。」
頭脳明晰かつ剣術にも長けた人間から出てくると言葉の重みが違う。
時代柄生まれた、外見での差別も、女という劣等も
全て自らの手で払い除けてきた。
努力という武器をもって。
「生きてさえいれば、会えますから。」
必ず。
✴︎
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やま - 次の話が気になります！！更新頑張って下さいね (2022年10月13日 17時) (
レス) @page40 id: 0e3bc286c0 (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - ☆さん» ありがとうございます！嬉しくて何度も読み返してしまいました笑ゆっくり更新していくので気分転換がてら読んでもらえたら嬉しいです☺︎ぜひまたコメントお願いします♡ (2022年9月4日 10時) (レス) id: 496eb1da56 (このIDを非表示/違反報告)
☆(プロフ) - とっても好きです。２１話の夢主ちゃんの言葉が、単純で、重くて、強くて、読んでいて圧倒されました。更新の度にわくわくしながら読ませてもらってます🙇♀️無理はなさらず、頑張ってください💖 (2022年9月1日 20時) (レス) @page25 id: f76d03d4ec (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - まつたけさん» ありがとうございます！最近一段と亀更新ですが楽しんで貰えると嬉しいです！またぜひコメントお待ちしてます☺︎ (2022年8月31日 13時) (レス) @page24 id: 496eb1da56 (このIDを非表示/違反報告)
まつたけ - この小説すごく好きです。 (2022年8月15日 19時) (レス) @page22 id: 796715c198 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：威杜 | 作成日時：2022年6月18日 2時
