真選組の精鋭隊士なのに攘夷思想が芽生えそうです。【銀魂】

【第十一話】 ページ15

なんで土方のヤローなんかの為に月9諦めないとならないんだ。


お通ちゃんが出てるんだぞ、私の至福を奪いやがって。


月曜夜9時から、ドラマのゴールデンタイムとも言える放送枠、通称月9。


今回人気アイドル寺門通が初のドラマ主演を果たしたのだ。


何を隠そうA、お忍びではあるものの寺門通親衛隊に出入りする程、寺門通の正真正銘大ファンなのである。


すでに放送された2話の視聴率はどちらも40%近くを叩き出しており、親衛隊として鼻が高いばかりだ。


ネットでは大根だと叩かれている場面もしばしば見受けられるが、

そんな事は気にも止めず、ただひたすらに推しを追い求める生活に勤しんでいる。


需要と供給とはまさにこの事である。


「お通ちゃん、待っててね。」


先程の話の中で土方に録画を誓わせたAは、リアルタイムでの視聴率に貢献できないことを嘆いている。


あくまでお通ちゃんの為にならねば意味を成さないのだ。


とはいえ、遠回しに人目を避けて話がしたいという様な土方の要望が気になった事は言うまでもなく、

最近の任務に関しては自分でも思うところがある。


総悟さんのこと、任務のこと、とっつぁんからの呼び出しのこと…


ここのところずっと心のどこかが曇ったような感覚に苛(さいな)まれている。


この誘いが良い機会かもしれないとも考えているのも事実であった。


気がつくと時計が20時を知らせていた。


「あ、やべ」


隊服から着物に着替え、屯所出入口へと急いだ。


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