真選組の精鋭隊士なのに攘夷思想が芽生えそうです。【銀魂】

【第四十二話】 ページ46

屯所に戻り、山崎を連れ土方の元へと向かう。


「土方さん、ちょっと良いですか？」


部屋の中から入れと声がして、障子を開けた。


Aの自室より僅かに広いその部屋は、

低い机に書類の保管庫、急須や湯呑があるのみの質素な空間だ。


机を挟んで対面に並んで座る2人。


「で、進展はあったのか？」


徐(おもむろ)に煙草を咥え、火をつける。


深く吸い込む音の後に吐き出されたきめ細かい煙が3人を包み、

少しずつ部屋の空気を薄く霧がけていく。


「ターミナルに向かいました。

出国を目論んでいるものかと。」


「そうか。」


応援が必要な旨までを、一通り説明する。


「分かった。A、」


「はい。」


「お前はここに残れ。」


あぁ、またか。


また置いていくのか。


「なんでですか…私が何したってんですか？」


「副長命令だ。

山崎、お前は明日の準備しとけ。二番隊にも収集かけろ。」


「はい…。」


分かったらさっさと行け。


半ば追い出されるように部屋を後にした2人。


気まずそうにAを見やる山崎。


「あの、Aさん…。」


Aもまた山崎を軽く見やる。


僅かに目元が光った。


「ほっとけ。」


そのまま自室へと向かって角を曲がり見えなくなった。


「はぁ…。」


ここ数日ため息が止まらない。


「困るんだよな、あの人にああいう顔されるの。」


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