其の捌 ページ10
「そ、それでは行きますよ……!!」
Aは的に狙いをつけたあと刀を閃かせ、大きく息を吸った。
スゥゥーーーー…
Aの小さな体から、たくさんの空気を吸う音がする。
そして小さな足で大地を思い切り蹴り飛ばし、的を狙って刀を振った。
「水の呼吸 壱ノ型 水面斬り!!!」
Aは華麗に舞い、畳を巻いて作られた的に水面斬りを放とうとした。
─────が
あともう数歩の所でAに異変が起きた。
急に激しく咳き込みだし、刀を手放して地面に倒れ込んでしまった。
それを見た冨岡も不死川も呆然とする。その一方近くにいた隠は大慌て。
「やっ、月見里様!?大丈夫でしょうか!?!?」
Aは日輪刀を杖代わりにして噎せながら体を起こし、「大丈夫です…」と小さく呟いた。
御館様の言っていた「呼吸を上手く使えない」というのはこういう事だったのだ。
彼女は一応技自体は取得しているものの、いざ出すとなると体が過敏に反応してしまい、途中で技を出せなくなってしまう。
この調子じゃ塵旋風・削ぎも出せないだろうなと判断した不死川は、Aを月屋敷の中へ運んだ。
「…御館様のおっしゃっていた"呼吸を上手く使えない"とはこういう事だったのか…。」「それさっき聞いたぞォ」
Aが起きるのを待つ間、冨岡と不死川はそんな事を話していた。
冨岡曰く、別に姿勢や呼吸には何ら問題は無かったし、むしろあのまま技を繰り出す事も出来たのでは、ということだ。
他の呼吸や派生呼吸も使えないと言う事はもう残された呼吸法はこれしかないし、その二つどちらもままならない。御館様曰く、風の呼吸はもっと酷いらしい。
その辛うじて使える呼吸法があんな状態だと、もう解決の糸口すら見えない。
「さァて、アイツにどう呼吸法を教え込むか…だいたい体にあってねぇって可能性もあるからなァ…」
不死川は頭を掻きむしって考えたがいい方法も思い付かないし、冨岡からもいい案は出てこなかった。
Aが起きてきた頃にはすっかり日も暮れていて、参人にはそれぞれその後に行う任務も与えられていた。
「あの…き、今日は、時間を割いてくださったのにあまり練習が出来ず、すみませんでした…」
「いや、気にするな。それよりもお互い任務をしっかりこなそう。」「そうだなァ。ンじゃ、また。」
参人はそれぞれ言葉を交わして解散した。
--大正コソコソ噂話--
作者は不死川の方が喋らせやすいと思ってます←
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うい(プロフ) - ものさしおぢさん» ありがとう! (2021年9月29日 16時) (レス) id: 2d17a24ecf (このIDを非表示/違反報告)
ものさしおぢ(プロフ) - ういさん» コメントありがとうございます!わかりました!その前のお話は文字数の影響で出来ませんが、次回から間隔を開けてお話を書きます! (2021年9月29日 7時) (レス) id: 0bd4004e6c (このIDを非表示/違反報告)
うい(プロフ) - めっちゃ内容いいです!あの、もう少し文字の隙間開けてくれると読みやすいと思います! (2021年9月29日 6時) (レス) @page4 id: 2d17a24ecf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ものさしおぢ | 作成日時:2021年9月27日 18時