其の壱 ページ3
あれから、無事に裁判は終了した。
途中、風柱が腕を自らの手で傷付け、鬼の少女・竈門禰豆子に差し出すなどのいざこざはあったものの、鬼を連れる事が認められたようだ。
"妹が人を喰らった時は自分と育手、更には水柱が腹を切って詫びる"という約束のもとに。
少年が去った後に、"柱合会議"なるものが開かれた。
「今日はみんなに、新たに"柱に任命された子"を紹介しようと思ってね。」
鬼殺隊の当主・産屋敷輝哉がそう告げると、一気に柱達の空気が変わった。
新たな仲間が増えて嬉しそうにする者もいれば、新入りの強さは如何なものか、手合わせをしたいと考える者もいた。その場はかすかにざわついていた。
しかしそれは、産屋敷の「入っておいで」という一言と共にかき消され、同時に視線がガタガタと音を立てる襖に集中した。
柱が注目する先から出てきたのは、蟲柱・胡蝶しのぶよりも一回り小さく儚げな、ごく普通の少女であった。ぱたぱたと小走り気味に産屋敷のもとに近づき、ちょこんと正座をした。
(きゃっ、とっても可愛いわ!仲良くなれるかしら?)
恋柱・甘露寺蜜璃はそんなことを考えていた。頬をほのかに染め、きらきらした目で少女の方を見る。その反面、
(あんな弱そうなチビが柱ァ??あり得ねぇだろォ…)
と風柱・不死川実弥は心の中で毒づき、鬱陶しげに少女にちらりと視線を送った。
当本人である彼女は、俯いて細かく震えていた。恐らく、想像以上に大きな柱の威厳に、耐える事が出来なくなっているのだろう。さらに、今の自分は注目の的。視線の圧が凄いのもあるかもしれない。
「では、紹介するね。この子は"
「ぁ、あのっ!や、月見里です!よ、よろしくお願い、します!!」
産屋敷の声に、新たな柱・月見里Aは弾かれたように顔を上げ、そう言った。緊張のせいで声がうわずり、ぎこちない。
「ちょっと待てェ。お前柱を名乗るくらいなら、それに値するほどの力があるんだろうなァ?」
不死川は純粋な疑問を投げかけた。ただそれだけ、本当にそれだけなのに、何故かAの瞳は潤んでいた。おそらく、彼が無意識に放つ威圧に負けたのだろう。透き通った空色の大きな瞳から、今にも大きな涙がこぼれ出そうだ。
「お、おい!?ちょっと待てェ、俺はただ気になったから聞いただけだぞォ!?」
--大正コソコソ噂話--
Aちゃんは極度の怖がりで、お化けとかも無理みたい
(文字数が…)
19人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うい(プロフ) - ものさしおぢさん» ありがとう! (2021年9月29日 16時) (レス) id: 2d17a24ecf (このIDを非表示/違反報告)
ものさしおぢ(プロフ) - ういさん» コメントありがとうございます!わかりました!その前のお話は文字数の影響で出来ませんが、次回から間隔を開けてお話を書きます! (2021年9月29日 7時) (レス) id: 0bd4004e6c (このIDを非表示/違反報告)
うい(プロフ) - めっちゃ内容いいです!あの、もう少し文字の隙間開けてくれると読みやすいと思います! (2021年9月29日 6時) (レス) @page4 id: 2d17a24ecf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ものさしおぢ | 作成日時:2021年9月27日 18時