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「 ⋯失礼 」
できものも何もない真っ白な額に
冷えピタを貼り付ける。
その瞬間、師範の顔は歪んだが、
すぐ気持ちよさそうに頬を緩ませた。
これでしばらくは大丈夫だろう、と思ったが、
1番の問題を考慮していなかった。
「 (着替えは⋯どうしたらいいんだ⋯?) 」
今の師範の格好は学校帰りのため制服だ。
しかし、あのまま寝かせておくと
その制服がシワだらけになってしまう。
困りに困った結果、俺は甘露寺を呼び出した。
甘露寺「 どうしたの⋯って、Aちゃん!? 」
「 熱を出して寝込んでいる。そこでだな、甘露寺 」
甘露寺「 はいっ! 」
「 ⋯師範を浴衣に着替えさせてあげてほしい。
俺にはとてもじゃないが無理だ 」
穢れなき師範の裸体を見るなど、恐れ多くてできない。
頭を床に擦り付ける勢いで頭を下げると、
上から少し焦った声がした。
甘露寺「 あ、頭は下げなくていいわよ⋯!?
そんなことならやるわ!
少し時間をいただけるかしら? 」
「 あぁ。よろしく頼む 」
甘露寺は師範の浴衣を手に、
楽しそうに部屋へ入っていった。
数分後、甘露寺は俺に礼を言って屋敷を去っていった。
今度、甘味処へ3人で行こうと決め込み、
師範の部屋の襖をゆっくりと開ける。
「 っ、師範? もう大丈夫なのか? 」
『 蜜璃が来てましたので。
⋯さすがに、寝たままではまずいでしょう? 』
「 甘露寺ならもう帰ったから寝ろ。
その様子では、まだ本調子ではないだろう 」
『 ⋯あははっ、なんでもお見通し、ですね 』
師範は髪を三つ編みにくくりあげ、
また布団に寝転がった。
「 熱が下がったら風呂に入っていい。
ただし、まだ寝ていろ。
最近は忙しく、睡眠も十分にとれていなかっただろう 」
『 は、い⋯ 』
再び眠りについた師範は驚くほど青白かった。
不安になりながらも俺は部屋をあとにし、
湯浴みの支度を始めた。
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レイン様(プロフ) - おばみつじゃない新しい設定ですねぇ (2020年8月19日 11時) (レス) id: 6e6e0a8455 (このIDを非表示/違反報告)
nogue - カブトムシおはぎ柱wwwこれからも頑張ってください。 (2020年3月31日 17時) (レス) id: a847137800 (このIDを非表示/違反報告)
澄葉流(プロフ) - ちょー面白いです!!!これからも更新頑張ってください!!! (2020年2月27日 22時) (レス) id: 73c9d55ae5 (このIDを非表示/違反報告)
なー - えっ…面白すぎない?続き、楽しみに待っております (2020年2月20日 21時) (レス) id: 0ed445bc17 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - めっちゃ好みです!これからも頑張ってください!応援してます。 (2020年2月19日 21時) (レス) id: f4a774456e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タピ岡義勇 | 作成日時:2020年2月17日 16時