亀裂 ページ14
私は今日久しぶりに鶴丸に会いに行った
最後になるかもしれない。ちゃんと言わないとお礼と、自分の気持ちを…
今、出来る限りの笑顔で…
いつものように鳥居をくぐると鶴丸は賽銭箱の前の階段に座っていた
こちらに気がつくと、パッと笑顔になり、走りよってきた
「よ！久しぶりだな！退屈で死にそうだったじぇ〜」
「ご、ごめんね。い、忙しくてずっと来れなくて」
「なに、きみが元気ならそれで十分だ」
「あ、あのね鶴丸…」
「ん？なんだ？急に深刻そうな顔して」
「私ね。………
私、もう鶴丸とは会えないの
ううん。会いたくないの」
ごめんね。鶴丸…
「え… き、きみ何を言っているんだ」
「わ、私ね。鶴丸のこと……」
言わなくちゃ、伝えないと
「嫌いなの、大っ嫌いなの」
嘘だよ… 好きだよ
「………」
「鶴丸のいつも驚かしてくるところとか、優しいところとか、心配しすぎるところとか、みんな……みんな大っ嫌い！！」
ごめんなさい
ごめんなさい
そんな顔させたくないのに
傷つけてごめんなさい
「… そうか… 今まですまなかったな。
きみを喜ばせようとしていた事が、逆に苦しめていたんだな…」
ううん。全部嬉しかったよ
「最後にひとついいか？」
「なに？」
「…
笑ってくれ」
「!!」
「最後までわがままですまないな
でも、これで終わりだから」
笑えないよ。
「…ごめんなさい。それだけはできないの…」
「…そうか。笑顔も見せたくないか…」
違うよ。見せてあげたいよ。あなたも笑顔にさせてあげたいよ。
「も、もういいでしょ？
それだけだから…」
ほんとに？それだけでいいの？
最後くらい
素直になってもいいよね
「鶴丸」
「ん？なんだ」
「す、好きだよ…」
「え…」
「さよなら。今までありがとう」
私はそう言い残して走り出した
最後の最後まで素直じゃなくてごめんなさい
後ろから鶴丸が私の名前を呼ぶ声がする
さよなら、鶴丸
さよなら、大好きな人
ありがとう
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作者名：鶴華月 | 作成日時：2017年11月25日 22時
