人気者 ページ16
三ツ谷side
教室に入った瞬間、いつもなら俺に纏わりついて来るはずのきゃぴきゃぴ佐藤さんの姿はなかった。
おかしい……と思ってぐるりと教室を見渡す。
すると、教室の窓側に溜まってる男子が大きな声を出した。
「えー、今日Aちゃん休みなの？嘘じゃん、学校来る意味無くね？」
「……へぇ」
ポツリと自分の声から謎に安堵した声が漏れる。
あの人が休みなんて珍しい。
でも今日1日、あの厄介な佐藤さんが居ないと思うと清々した。
「えっ、嘘……今日Aちゃんいないの？！放課後一緒に遊びたかったわぁ。つらい」
「それな〜、マジでつらい」
次々と教室に入ってくる者が、佐藤さんが休みであることを知ると落胆の声をあげた。
え、佐藤さんが休みなだけでそんなに落ち込む？
逆にあの人が休みで少し嬉しいと思ってるのは、俺だけだろうか。
そう……あのぶりっ子で有名な佐藤Aは、何故か男子女子関係なくモテるのだ。
クラスの女子は佐藤さんのような、きゃぴきゃぴした女子を嫌う傾向にあると思ったがそれは逆だった。
寧ろ女子の方が、あの佐藤さんのファンが多い。
いや、どんなコントだよ。
周りがおかしいのか、俺がおかしいのか……もはや分からない。
佐藤さんにどんな魅力があるのか、俺に1から教えてほしいものだった。
「私ね前、怪我した時Aちゃんにおんぶで保健室まで連れて行ってもらったんだぁ〜！」
「「え、それはずるい！」」
「あ、Aちゃんの腹筋見たことある？すっごいバキバキに割れてるんだよっ！」
「「うわ、萌える死んだ」」
教室の端っこで5、6人の女子が群がって佐藤さんについて喋っていた。
大人しく聞いてみれば、どれも耳を疑うものばかり。
"運動神経がめちゃくちゃいい"だとか
"実は声が低い"だとか。
作り話にも程があるだろ。
学校の七不思議に認定されるわ。
皆、あの人に何を洗脳されてるのか。
俺はそんな話を聞き流して、1時間目の授業の準備をした。
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
「三ツ谷くん、これ佐藤さんの家に持って行ってくれない？」
「……え？」
放課後、部活に行こうとしたら担任に呼び止められた。
担任が渡してきたのは連絡やら宿題やらそんなものが入った封筒。
「何で俺、なんすか？」
「割と佐藤さんと家近いじゃない。それにあなた達仲良しだし！じゃ、よろしく」
「ちょ…！」
無理やり押し付けて去って行った担任。
最悪だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 751人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のの - 三途出たら面白そう (2023年4月26日 23時) (
レス) @page9 id: 45d6e93948 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 三途も出て欲しかったです (2022年12月18日 14時) (レス) @page8 id: d85abe7ad7 (このIDを非表示/違反報告)
奈々子 - ヒプマイバージョンも作って欲しいです飴村らむだにあわせたらぜったいおもしろそう (2022年7月31日 10時) (レス) @page15 id: 2f5361bf3f (このIDを非表示/違反報告)
M - ぶりっこかーうわぁって思いながら読んでみたら5ページ目で惚れましたありがとうございます (2022年6月30日 2時) (レス) @page5 id: 0bd2a9d625 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいんせちあ(プロフ) - あ"ーーーー！！！気になるぅ！！！！ (2022年6月19日 18時) (レス) @page47 id: 2e29fc010d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：光と慈雨
| 作者ホームページ：http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時：2021年9月21日 22時
