吸血鬼とモブJK 3【ジョジョの奇妙な冒険】

花唄 ページ45

ディオside


｢ジョジョと何の話をしてたんだ｣

"教えてくれないか？"


と、促すとAは典型的なとぼけ面をかました。


『あれ、何の話だったかなぁ』


コイツ、毎回毎回何なんだ。


最近よく目を逸らされる。あの舞踏会の帰りのことを聞いた時も同じ表情だった。


隠し事をする時のコイツの特徴なのだろう。


ジョジョとAが話していた内容はさっき聞こえた。


俺が本当に知りたいのは話していた内容ではなく、この女がどう出るか……ということ。


もしコイツがジョジョの側につくと言うのなら、早めに殺しておいた方が良いに決まってる。



｢薬のこと……聞いたんだろう？｣


『何だ知ってんじゃん』


すっと緩められる目元。

心做しか、一瞬コイツに全て見透かされているんじゃあないかってドキッとした。


ああ、そう……このマヌケは昔からこうだ。


何も考えてなさそうなアホ面して、何処か俯瞰して見ているようなこの余裕さ。


本当は全部知ってんだろ？ってつい根拠の無いことを口走りそうになる。



｢ジョジョの話を信じるのか？第一、証拠がないだろ｣


『まぁそうなんだよね、ジョジョがロンドンで死んだらディオの勝ち確だし』


｢……質問の答えになってないが｣



すると、Aは黙り込んだ。


『うーん』と考えるように頭に手を当てると同じ場所をぐるぐると巡回し始める。


瞑目しても、歩き回っても中々頭の中は整理できないようだ。


何だこの無駄な時間。


｢おい｣

『……よし！』


足りない脳みそで暫く考えて、何か浮かんだのかAは声を上げた。


そして少しだけ俺に近づいた。



『私はどちらの味方でもない！』


｢…何だそれ｣


ビシッと指を俺に向けると言い放った。

ただ、巻き込まれたくないだけだろ。


仮にも7年一緒にいるって言うのに、コイツの他人への信用のなさは何処か俺と似ている。


｢バカだなお前｣


俺の計画を知ってるならジョジョにつくだろ普通。


思っていたより、相当バカだぜコイツ。



『バカってなんだよ！兄弟喧嘩に興味がないだけなんで』


"勝手にやってろ"


映画のヴィランのように目を細めてAは笑うと、俺に背を向けて歩き出した。


下っ手くそな鼻歌が薄らと聞こえる。


しばらくして視界から消えた。



ジョナサンと同じタイプかと思っていたが、Aは想像よりもよっぽど悪だったらしい。



知ってるくせに知らないフリをするなんて、極悪人じゃあないか。

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