目が覚めるまで君と ページ37
『うーん』
持ち主のいなくなった写真(事故画)をどうするか…と考えて私は今日も仕事へ向かった。
DIOがいなくなって今日で2週間、世の中は以前となんら変わりない。
活気な街も、人も車も野良犬も…DIOが死んだからといって憂いでるはずもなくただ日常を過ごしていた。
『おじいちゃん朝から早いね！』
「今日は休日だからな。人も多くなるぞ」
ハンハリーリの雑貨屋へ着くといつもより1時間早く、おじいちゃんが店を開けていた。
金曜日で休日だからと精を出しているのだろう。
おじいちゃんもまた2週間前と何一つ変わらない様子で。
まぁ、DIOの事を知ってる訳でもないから当たり前なんだけどさ。
私も特に変わったところはない。……かな？
仕事終わりに会いに来てくれる人がいなくなってちょっと寂しい気もするけど。
別に何の問題もない。
日常の1部だったのだ。最初から無かったと思えばそれでいい。
「そろそろ店開けるか」
『うん、そうだね』
私は立ち上がって、店の外に掛けてある看板を、CLOSEからOPENに変える。
『ねぇ、おじいちゃんイチジクタルトってある？』
「ん？」
唐突な私の意味不明な質問におじいちゃんは、目を細めた。
何でこんな事を聞いたのか自分でも分からないが、今無性にイチヂクタルトが食べたくて堪らないのだ。
あれ、イチジクタルトって前どっかで食べたっけ？
すごく懐かしい気分、何でだろ。
「おいA、どうした？…大丈夫か？」
『ん？何が？』
おじいちゃんが突然私の顔を覗いて、怪訝そうな表情を見せた。
まるで変なものを見るかのような目で……。
"どうした？"ってこっちが聞きたい。
・
「何で泣いてるんだ……？」
『え？』
おじいちゃんに言われて自分の頬を触ると確かに濡れていた。
目を擦って、涙を拭いても汗みたいにぽろぽろと溢れてきた。
『あ、れ？どうしたんだろ。何か変だよね』
「おいおい、大丈夫か？」
おじいちゃんが気を使ってハンカチを渡してくれた。
顔を覆うように両手でハンカチを目の縁に当てる。
それでも尚、出てくるこの水分は一体何なのだろう。
…いや、もう私は気づいている。
ずっと、気付かないふりをしてたのかもしれない。
忘れてもう記憶の端の方に埋めてしまいたかった。
『あぁ、会いたいなぁ…なんて』
虚しくも私の声は嗚咽と共に潰れていった。
この曖昧な世界で私を救ってくれた我儘な王はもう、いないらしい。
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俺☆ - やばいめっちゃ面白いのにめっちゃ感動してる。何だこれ。 (2023年1月5日 11時) (
レス) @page50 id: b2c114123d (このIDを非表示/違反報告)
Earthあーす(プロフ) - あれなんか目がナイアガラの滝になってる (2023年1月4日 18時) (レス) @page43 id: 0fcf2cea39 (このIDを非表示/違反報告)
しらとめ(プロフ) - 面白いのになんとなく泣きそうになってきます (2022年11月28日 17時) (レス) @page35 id: 353a651934 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - DIOの代わりに空条承太郎パイセンとくっついちゃいましょう!!面白かったです。続きを楽しみに待ってます!! (2022年11月28日 1時) (レス) @page33 id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
ペトリ皿(プロフ) - やばい。展開も何もかもが面白すぎる。 (2022年11月27日 18時) (レス) @page32 id: cbc38767b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：光と慈雨
| 作者ホームページ：http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時：2022年9月5日 23時
