006 ページ8
主催は機械を専門に扱っている有名企業。呼ばれているのは企業に関わった専門家や株主。その大富豪は株主として今回出席しているようだった。
大富豪と言う名の如く、多くの人が砂糖に群がる蟻のように彼の近くにいた為見つけるのは容易だった。私は会場にいるスーツを着たスタッフのひとりからシャンパンをもらいバーボンと別行動を取りながら徐々に標的へと近づいた。
そして、会場が暗転したと同時にわざと脚を捻らせて、標的の目の前でシャンパンを大胆にこぼしながら転けてみせた。
「ご、ごめんなさい……私のせいでおじ様のこんなに素敵なズボンが台無しだわ……」
暗闇の中、何かの発表があっていたようだがそんなことは気にも留めずこちらはハニートラップを続けた。
「私のことは気にしなくていいんだよ……ほら、かわいいお嬢ちゃん……君の折角の素敵なドレスも濡れてしまって台無しじゃないか」
「いえ、そんなことなんて別にいいんです。どうお詫びしたらいいか、私……」
「では、私の部屋に来るかな？そこでシャワーを浴びようじゃないか、風邪をひくといけない」
「そんな……ありがとうございます、そのようでしたらご一緒させてもらいます……」
そういうと男は口元を緩ませ、群がる蟻を追払い、私の腰に手を回し暗闇の中会場から連れ出した。ただ気持ち悪すぎて今にでもこの男を殺してしまいたい気持ちに襲われたが、その代わりに感情を殺して任務遂行のため男に従った。
バーボンside
『……もちろんですわ、ご一緒させてもらいます』
盗聴器から聞こえてくるミモザの声を聞いて気づかれないように後を追った。
『あら、2024号室ってこのホテル一番のスイートなんじゃないですか？そのようなお方にシャンパンをこぼしてしまうなんて……私ったらなんてことを……』
『ほら、もうそんなことはいい。早く部屋に入りなさい』
2024号室……彼女が言っていた『万が一のこと』に備えてそのフロア、20階まで行くことにした。
“ でも、思うのよ……失敗して苦しみながら組織に消されるぐらいなら組んだ相手に標的諸共、私も殺された方がよっぽど楽じゃないのか……って”
彼女が怪しげな微笑を浮かべて言い放った言葉が脳裏に浮かんだ。人間とは不思議なもので忘れろと言われた事ばかり覚えていてしまうものだ。彼女が失敗したとしても、俺は標的諸共彼女を殺したりはできない……今まで俺が組織から暗殺を命じられたときは殺したように見せかけていただけで実際に殺していたわけではないから……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 167人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琳香(プロフ) - さちさん» コメントとご感想ありがとうございます(´-`)こちらこそよろしくお願いします。 (2019年10月19日 23時) (
レス) id: f8b1e46d61 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。続きが気になりました。よろしくお願いします。 (2019年10月19日 13時) (レス) id: c80821aeaf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
