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オートロックのドアを閉めた瞬間の出来事だった。男は私の腰に当てていた手をグッと引き寄せて体を密着させ、さらに私の唇を奪った。
「どうだ、これで君が犯したことは全てチャラになるだろう?ほら、早く服を」
「待って……ここじゃ嫌……ベットに……」
そう言って私は標的をベッドに誘導した、勿論抹殺することができる最大の機会を狙って。
「ほら、君の願い通りだ……早く脱ぎなさい」
私はブルートパーズのついたネックレスを外し、それをバックに入れるフリをしてサイレンサー付きの銃口をのうのうとベットに横たわっている男の頭に突きつけた。
「なっ、なんだね」
「随分と無防備な姿ね……自分が何をしたか分かってるんでしょう?銃口を脳味噌に向けられる意味を1番よく知っているのはあなたの方じゃなくって?」
「そ、それは……」
男は冷や汗をかき息をのんでいた、私が何者であるかをその小さな脳みそを使ってようやく理解したようだった。
何度も脳裏に焼き付くほど見てきた、人間最期は皆同じ顔をする。
「我々組織に対して興味本位で首を突っ込んだあなたが悪いのよ?馬鹿ね、女好きのあなたが最後に口づけを交わした女から殺されるだなんて……いや、これがむしろ本望かしら……最後の異論があればどうぞ?」
「いや、頼む……殺さないでくれ……悪かった、私が悪かった」
「悪いわね……ボス、あの方直々のご命令なのよ。あなたを見逃すだなんて、そんなに優しいことはできないわ……恨むなら私じゃなく、その小さな脳味噌をあなたに与えてしまった神様をあの世で恨むのね」
サイレンサーから実弾が飛び出した音だけが部屋に響いた。男は頭部から血を流してこの世を去った。
死んだ男を眺めて________
私は早々と部屋を去った。
バーボンside
静かな銃の音が耳に届いてきた。あれほどハニートラップを嫌っていたミモザとは思えないほど、何の問題も起こすことなく任務を円滑に遂行した。やはり噂通りの恐ろしい女だ、と思っていたそんなときだった。
『ごめんなさいね……私もこの世界で生きていくためにはこれしか……こうする他手が無いのよ』
俺は盗聴器から聞こえてくるミモザの声を信じられず自分の耳をまるで疑った。男を恐喝していた時とは全く違う、囁くような小さな声……何か俺の中で確信していた、ミモザの組織への忠誠心というものが崩れていくような……いや、そんなはずはない。なにせ彼女は……俺の中の歯車がひとつずつずれていくような、そんな感覚だった。
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琳香(プロフ) - さちさん» コメントとご感想ありがとうございます(´-`)こちらこそよろしくお願いします。 (2019年10月19日 23時) (レス) id: f8b1e46d61 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。続きが気になりました。よろしくお願いします。 (2019年10月19日 13時) (レス) id: c80821aeaf (このIDを非表示/違反報告)
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