¿日目 ページ8
「A。おれらが一緒にいちゃ、だめなんだよ。解って、」
『いや、悠ちゃん。いやだ、』
男の子の服をひしひしと握って、女の子が泣いていた。
女の子は知っていた。
彼が夜に、声を殺して泣いていたことを。
女の子は知っていた。
彼が、他人の死を悲しむことが出来る人間なのを。
女の子は知っていた。
彼の
執拗にそばに居たかった。
私さえ居れば、彼の
彼が求めてくれた。
Aの傍は暖かくて、静かで好きだと。
『悠ちゃん、悠ちゃんが、視なくていいんだよ。Aのそばに居てよ、居ようよ。』
「おれは、おれにしか出来ないことがあるから」
『私だって悠ちゃんの力になりたい、そばに居たい、』
「Aが居たら、おれは役立たずにしかならない」
『悠ちゃんおねがい、未来にいかないで、』
彼が、
そこで泣いているのは私だけだった。
「A、おれは、必ず
だから。
そう言って彼は私を宥めた。
酷く困っていた。
私が泣き喚くから。
林道支部長も一緒になって、迅から離れようとしない私を引き剥がした。
手を伸ばしても手を伸ばしても、彼は私の知らない暗い海へと沈んでいく。
その顔はいつだって笑っている。
私も同じように冷たい水中に潜っていくのに、どうしても彼には追いつけない。
笑ったま間の彼の顔が、私の方を振り向いて、
もう来ないでくれと叫んでいるように聞こえて仕方がない。
どうしても私は、彼と同じ土俵に上がれはしないのだと痛感した。
もう彼の邪魔だけはしないと思った。
最上さんが居なくなってから数日、数ヶ月経ってから私は迅を"迅"と呼び始めた。
私が変わってしまったことに彼は凄く動揺していた。
私というなの海が変わってしまったと、迅は悲しんでいた。
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作者名：いちごおれ?? | 作成日時：2023年2月20日 23時
