海底に棲むきみ【迅悠一】 (ページ34)

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23日目ページ34

私は今、所謂ナウなヤングな人達に人気そうなスイーツ屋さんに来ている。

隣には私服姿の迅。
オシャレ度で言うと☆3くらいだと思う。

私はそういうの疎いから分からないが。

迅「なに食べる？」

メニューを私に見せながら、私の目を見つめてくる彼。

何故こんなことになったのかは、遡ること1日前だった。

迅「明日駅近くにあるスイーツ屋さん行かない？」

『え、キモ……』

迅悠一という人間から"スイーツ屋さん"という言葉が出てきて、咄嗟に言葉が漏れてしまう。

悲しい意味も含めて、私に気持ち悪いと言われ慣れている迅は顔色を変えないままそのまま言葉を続ける。

迅「ね、行こうよ。明日は休みだろ？」

いつも、"一日中迅と一緒"とはいかない私は、ある程度一緒にいたらその日は一日避け続けるという逃避を繰り返していたのだが、

スイーツを食べに行くとなるとほぼ一日一緒にいることになってしまう。

それは、迅のサイドエフェクトが一日機能しなくなることを意味した。

『大丈夫なの？未来は』

迅「この先の未来に大きな事態が起こるのは誰の未来視てもないし、1日くらいおれだって遊びたいもんだよ。」

そう言われてしまっては、OKを出さざるを得なかった私だが。

まさかこんなデートチックな雰囲気になるとは思わなかった。

『なんか不吉。』

甘いケーキを口に運びつつ、私がそう呟くと
迅「なぁーにが。せっかく美味しい物食べてるんだから喜びな。」

そう言い捨てられる。

迅が、ボーダーの隊服以外を着るのはあまり見ない。
そのくらい防衛任務に当たっている。

昼も、夜も。

迅「A、美味しい？」

頬杖を着いて、細められた瞳で私を見据える彼は、満足そうだった。

『うん、美味しい。』

良かった。
そう言って、迅は笑った。