22日目 ページ33
お風呂からあがって、適当に髪を乾かしてから
自分の部屋……には行かず、その隣の迅の部屋に入る。
相変わらずのダンボールの量だ。
"ぼんち揚"と書いたダンボール以外にあるのはベッド。
あと小さめの机。
コレは私があげたもの。
さすがに生活感がない部屋だったので、この上で作業すればいいかな と思って自分の部屋にあった机を迅にあげたのだ。
その机の上にはボールペンが1本のっていた。
迅「ノックぐらいしてよ」
『予約済みだからいいの。』
彼の髪は私が入浴している時に大方かわいてしまったのか、毛先部分は湿っているものの束感が無くなっていた。
布団の上に胡座をかいて座る迅の横に腰を下ろす。
この部屋はどうも迅の匂いで溢れていた。
『風刃はさ、良かったの?』
彼が逃げないように、私は迅の手を握る。
お風呂上がりの私の暖かい手。
迅も十分、体温が高くなっている。
自分以外の体温に触れ、今ここに"2人"の人間がいるのだと自覚する。
迅「ソレ、聞くの遅いよ。」
彼は、私の顔を見ずに答えた。
『聞いて欲しかったの?』
迅「べつに。」
ドアの方向を見ている彼の横顔を眺めて、
彼が動く度に揺れる毛先を見て。
憂いを帯びた 何処までも悲しい迅は、
ソレがいつかの過去に似ていて。
『今凄くブサイクだよ』
迅「この手の話が苦手なのはAだったりして。」
ありがとう。そう言いながら、同じ青色が私を捕える。
私は、17年生きてきても 彼の救い方を見出すことが出来ない。
私と逃げようよ、
こんな言葉すら喉で詰まる。
彼が、
『無理しないでね』
迅「はーい」
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作者名:いちごおれ?? | 作成日時:2023年2月20日 23時