海底に棲むきみ【迅悠一】 (ページ30)

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20日目ページ30

快晴の冬。

なんだか変な感じがする。

冬って暗くて寂しいイメージがあるのに、こうも夏みたいに快晴になると脳が麻痺した気分になるのだ。

『私さ、迅が占いしてるところ見たことないな』

暖房の効いた暖かい部屋で、私はぽつりと呟いた。
小南が"あんた占いなんてするの？"と迅の顔を見ている。

迅「おれのサイドエフェクトのことを占いって言うな」

『分かったんだ』

"分かるよ。バカ" と私の頭をペシ、と殴ってから隣に座る迅。

『私といると迅役立たずになっちゃうからねぇ…。未来視やってる所見たことない。』

小南「どうでもいい悩みね」

『気になるもんだよ？？』

私も体験したい。と隣に座る迅の顔を見ては、
困ったな、と言わんばかりの表情を浮かべている。

『あ、分かった。当たりはずれがついてるアイス買って来てよ。自分が食べる前提のヤツなら視えるんじゃないの？』

"あたり"買って来いよ、と目線を送れば
どうやって私に未来視を見せてやろうかと考えていた迅が立ち上がった。

迅「実力派エリートに任せなさーい。ってことで買ってくる」

正直、あたりアイスを未来視で視て買うなんて如何なものか、と思うけれど
1本くらい大丈夫だろう。

数十分後彼は帰ってきた。

"これは絶対あたり。では食べます"
と真冬にアイスを頬張る彼を小南と私は眺める。

迅「2人して見ないでよ。食べにくいな、」

『はやく。』

これで本当にあたりだったら凄いなぁ、なんて
未来視を体感したことの無い私は感じる。

食べ終わった迅は、自慢げな顔を浮かべて
私にアイスの棒を見せ付けてきた。

迅「これがおれのサイドエフェクト！」

ふふん、と鼻を鳴らす彼が持っているアイス棒を取り上げ、小南と棒を凝視すれば本当に"あたり"の文字が。

『え、凄。本当に視て買ったの？たまたまじゃないの？？？』

迅「必然です」

『まっじか、すご…。』

過去しか視えない私にとって、確定しない未来が視える彼は本当に占い師か魔法使いかと思った。

迅が食べたあたりのアイスの棒は私にくれたのだった。