12日目 ページ21
『でも、なんか不思議だよね。私たち、今や親は居ないのにこうして生きてる。』
迅「おれそういう話嫌いなんですけどー」
『迅が生きてて嬉しいっていう前向きな話じゃん？』
彼と言葉を交わし、触れ合い、呼吸出来ているのは過程がどうであれ 彼が生まれてきてくれたからだ。
私は迅が好き。
生きていてくれて嬉しいと思う。
彼には幸せになって欲しいと思う。
『女の子のおしりが好きって言う点だけは、教育を間違ったね』
迅「健康的な身体は目にいい」
『うわ、録音しとけばよかったキッショ』
録音して拡散して社会的に存在を消してやりたい発言だな。
女として許せない。
同じ苗字の全世界の人間に土下座しろ、
心の底で迅をディスりにディスりつつ、
無理矢理女子をどうにかすることはしない良心?的な人間のコイツの隣に腰を下ろす。
『ギリギリ犯罪者じゃないので許すけど、迅が捕まった時には私嵐山Aになるから。よろしく』
迅「わ〜容赦ない」
私が隣に来たのを見ては、また書類に顔を戻してしまう。
私と似た色の髪が靡く。
同じ色の瞳が目の前の紙を映す。
『迅手繋ご』
自分の右手を差し出して、ちょいちょい、と彼の左手をつついてみる。
迅「はは、いーよほら。」
私たちは長く一緒には居られない。
机に突っ伏して目を瞑れば、指を絡めて握った迅の手を自分の顔に近づける。
カタカタと迅が紙にボールペンを滑らせる音が聞こえる。
目を瞑っていても、迅がそばに居るのがわかる。
ちゃんと生きている。
すると、ガチャとリビングを開ける音が聞こえた。
小南「ただい……って、え。何？！ど、え？どういう状況……！？！？」
迅「おかえり〜小南」
小南「あ、うん…。2人だけ…？」
A寝ちゃったんだよね、とケラケラ笑う迅、
困惑する小南。
そして寝たフリを突き通す私。
手を離そうと力を弱めるも、迅がキツく手を繋いだままだったから、
私は迅から逃れることが出来なかった。
小南がいなくなったら殴ろうと思う。
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作者名：いちごおれ?? | 作成日時：2023年2月20日 23時
