海底に棲むきみ【迅悠一】 (ページ17)

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Ⅹ日目ページ17

出水side

出水「Aが消えたぁ？？？」

あいつ、貧血でぶっ倒れて、保健室にいるんじゃないのかよ。

先生から"迅が保健室から居なくなっていたらしい。"と聞かされたのは先程。Aを運んでから30分もしないうちの話だった。

話によると、体調の悪いAを早退させようと親(…と言っても、迅さんだろう。)に電話をかけようと保健室から先生が出ていった所、戻ってきた時にはもう居なかったそうだ。

米屋「ヤバいんじゃねーの？」

結構顔色悪かったし、と呟くコイツに共感する。
着込んでるはずなのに寒がって、顔は真っ青だった。

Aはどこに消えたのか。

出水「お、おれ探してくる！！流石にほっとけねーだろ！」

そうしておれは走り出した。

取り敢えず保健室の周り。あいつがほんとに逃げたなら、そう遠くへは行けないはずだ。

『いずみ、』

おれの名前を呼ぶ声がした。

出水「A…！！おまえ、大丈夫かよ。」

下駄箱を通り過ぎようとしたら、ソコにAが座り込んでいた。
おれはすぐ彼女に駆け寄って、肩を抱く。フラフラで倒れそうなこいつを支えた。

『いずみ、じん、来ちゃう。どうしよう、』

出水「良いじゃん、何が嫌なんだよ」

『いやだ。じゃま、したくない』

出水「誰もただ1人の家族が辛そうにしてんのに、邪魔だって思わねーって。寝とけ、おまえうるせーから。」

きっと迅さんなら、こんなAをみて自分を責める程困った顔をするんだろう。
こいつらはいっつもそうだ。

似てないくせによく似てる。

下駄箱に座り込んで、Aを遠慮がちに抱き締めて、大丈夫って言いながら迅さんを待った。

無理に動いたのが応えたのか、Aはいつまで経っても辛そうだった。