海底に棲むきみ【迅悠一】 (ページ16)

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10日目ページ16

……眠い。

簡単に言うと、
とても、寝不足だった。

SEの調子がおかしくて上手く寝ることが出来ない。
私の場合、迅の隣にいてもSEはどうにもならないし。

年に1度、たまにあるのだ。こういうことが。

今日の学校は休もうかと思ったけれど、班活動の一環で大事な発表がある。
皆に迷惑をかける訳には行かないと、無理やり制服に袖を通した。

1時間目は体育。
朝から動くという苦でしかない授業だ。

出水「よお、って……大丈夫か、？」

『なに…』

私の顔を見るなり、顔を顰めて私の心配をしてくる。分かりやすく喧嘩を売るようになったのか、と思うのも束の間。

何言ってんの、と彼に近付こうとすれば目の前が暗転してぐるると視界が回った。

酷く寒い。
いや、今は冬だから当たり前なのだが。

傍で出水が叫んでいる声が聞こえるような気がする。

段々と、気持ち悪さが増してきた。
此処で、"あー、私やっちまったんだ"と状況を察した。

寝不足も相まって、貧血で倒れたのだ。

『いずみ…、』

出水「大丈夫。今保健室の先生呼んだから。じっとしてろよ、」

私の肩を抱いていてくれる出水。
目の前がチカチカして、思考があやふやになってよく分からないが、女子たちが"大丈夫？"と心配の声を上げているのが聞こえる。

先生も"迅、大丈夫か"だなんて私の顔を覗き込み、目立っているなぁ……なんて。

その後直ぐに保健室の先生を呼びに行ってくれた米屋が走って戻ってきて、私は保健室に運ばれて行った。

保健室の先生「お母さん呼んで、早退しよっか」

苦しすぎて布団の中で踞る私を見て、保健室の先生がそう言う。

『ぜ、ぜったい、いや。やめて、』

お腹は痛いし、頭はクラクラするし、吐き気はするし。
でもじっとしていれば治るから、どうしても帰りたくないと訴える。

出水も米屋も、授業に戻ってしまった。

保健室の先生「お家に帰って寝た方が良いよ。」

私に母親なんて居ない。それを知らない保健室の先生は、お母さんに電話を…とどこかへ行ってしまう。

親が居ないから、どうせ迅が呼ばれるに決まってる。
保健室の先生がどこかへ行ってしまったのを見て、どうしても迅に此方へ来て欲しくない私は、おぼつかない足取りで保健室から出ていた。