8号、ココさんに"もっと"愛されたい

48 ページ10

「なぁ、」

『はい！！なんでしょう！！』





「俺のどこがいいの、？」







姿勢を正した途端にココさんはそんなことを聞いてくる





テレビを見ながら、自信なさそうな声で








「あ、おい」



すかさずリモコンを手に取り、ブチッとテレビを切ってやるとココさんはこっちを見てくれた







.







『全部』

「……あ？」




『全部好き。顔も好きだし性格も好き。ツンなところも好きだし仕事上手なのも好き。毒舌なとことか、すぐ手が出るところとかもたまらなく好き。とにかく全部。全部好きです』




喋ってるうちにヒートアップしてしまい、自然とココさんの右手を取っていた







『………あと小一時間は語れますけど聞きます？』



「や、いい」





ココさんの左手によって私の手は引き剥がされてしまう


え？引かれた？
自分から聞いておいてそりゃないぜ






「……やっぱ8号は8号だな」





フッ、とココさんは口角を上げる





ちょ……突然の推しの微笑みの供給はエグいて






吐血しそうな口を抑えて息を整える






そうだ、まだ私、言いたいことある








.







『………ココさん、私、梵天に残ります。三途さんの下で、これからも社畜として頑張ります。』









ついさっき決断したことだった






一昨日から悩みに悩んだ結果、私はやっぱ死ぬ訳にはいかないと思った



ココさんの隣に居られないのは辛いし、いつまで持つか分からない

三途さんのパワハラに、いつまで絶えられるか分からない



でも、少しだけ大人になろうと思った









「…………それが1番嬉しい」





ほぎゃああ、そんな聖母のような顔しないでくれ〜

離れるのが辛くなるよおお






「でもどうした？急に」








んー、どうしちゃったんだろう





私がこんな中途半端な決断するなんて有り得ない





しかも三途さんに好きに生きろって言われたばっかなのに







『自分のガキっぽさに気づいたといいますか……ちょっとカッコつけたかったといいますか………』








.









誰かが言ってた





〔好きな人には、幸せになってもらいたい。例え自分が傍に居られないとしても〕







そんな考えは綺麗事

私の価値基準には合わない




なーんて思ってたけど、









.







.






「………成長したな」







彼が笑ってくれるのを見ると、そんな価値観もあながち間違ってないのかな、なんて思った

49 〈九井side〉→←47

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す