8号、ココさんに"もっと"愛されたい

55 〈九〉 ページ17

「おはようございます九井さん！」

「………あぁ」







2週間が経った





殺人事件の件は一旦落ち着き、事務所は休勤期間を終えて、3日後には再開した




だから俺も、いつも通りに出社して、悪人善人関係なく金をふんだくって、マンションに帰る




そう、前と変わらない生活








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なのにあいつは、いつまでも帰ってこなかった







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軽自動車はそのまま
スマホもそのままで





ただ、あいつだけが居なかった





むしゃくしゃした気持ちは、クスリを飲んで晴らそうとしたけど、戸棚に閉まっておいたストックは、全て無くなっていて







控えた方がいい、と言われていたことを思い出す




あれだけストーカーしておいて、部屋から盗まれたものは、その薬だけだった









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「九井さん、これって合ってますか？」


あいつが帰ってこないせいで、モブ男の異動は白紙になり、俺には新しい秘書がついた


「……ID間違ってっけど」
「えぇぇ！？す、すすすすみません！！」


若くて賢い男だけど、どこか自信なさげで頼りない

9号と呼ぶ気にはならなかった







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きっとまだどこかで、あいつが戻ってくるなんてバカなこと、考えてるのか

家に帰れば、当たり前のような顔して飯を用意してるんじゃないかって





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「……おーい、ココ、息してっか〜？」






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気づいたら、会談室のソファに座っていた





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幹部が揃いも揃って俺の事を見ている







「……なんだよ、見てんじゃねーよ」



「いや、てめぇがさっきから上の空だからだろ」





相変わらずキマってる三途は落ち着きがなく、俺の肩を組もうとしてくる


そうか、今は会議中だったっけ






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