冷たい服従【灰谷蘭】

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何がしたいのか私にも分からない

ただ勝手に足が動いてた

事務所の構造はよく分かってないから人にぶつかったり、冷たい視線を浴びたりしながら運良く地下の駐車場に辿り着いた


ライトの光る外車を発見して、一目散にまた走り出す



車に向かって飛び出した


当たるか当たらないかスレスレのところで、車体は止まる





『はぁ………はぁ…………』




どうしてこんなクズ野郎の為に必死に駆けずり回ったのかと我に返る






運転席にはタバコを加えた灰谷蘭がいた

少し驚いた表情をした後、例のニヤついた顔を窓から出す





「あれ、どうしたの。蘭ちゃんに会いたくなっちゃった？」



ムカつく

無条件に全部ムカつく



『なんで黙ってたの』



窓側に移動して奴と目を合わせると、昨夜の事を思い出してしまって勝手に気まずくなる

当の本人はまるで何も無かったような態度

ムカつく






『………死体処理くらい私も行くから』

「あちゃー、もしかしてココから聞いちゃった？」


何があちゃーだよ

隠し通そうとしてたことにびっくり



『どういうつもり？私に気使ってるの？昨日あんな容赦なくめちゃくちゃにしたくせに今更キモイんだよ』


「え、なに拗ねてんの？可愛いね」

『は………』




思わず手が出そうになるのをぐっとこらえる



「だってお前すごい量殺すじゃん。女には片せねーよ。前の職場じゃどーせ部下に任せっぱなしだったんだろ。今になって有難みを知ったな」


だからってなんで

必死に対抗しようと言葉を模索しても、何も思いつかない



「まぁまぁ、とりあえず乗れよ」



顎で助手席の方を指されたので渋々外車に乗り込む

昨日私が血まみれにした車内は見違えるほど綺麗になっていた



でも、心做しかまだ生臭い



『…………死体積んである？』

「おー。昨日はとりあえずお前が殺した俺の元カノとおっさん焼いてきた」




元カノ……本当に未練なさそう


捨てようと思えばいつでも捨てれるってことか

私はその代わりなのか


小言は言わなかった


昨晩、せっせと私の代わりに死体処理してくれてたのに他の女抱いてきたとか適当な事言ってしまったせいで、少しだけ罪悪感が芽生えていたから







「海と山、どっちがいい？」


『……カジュアルに言わないでくれる？』


「あ、実質初デートじゃんこれ」






物騒な






『……山』





「おー、気ィ合うね俺ら」






ほんとに、変な男

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