冷たい服従【灰谷蘭】

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『………最初から殺すつもりだったの』



なるほどね

殺す前に刺客として利用してから殺そうっていう



それで結局おっさんに食われそうになってるところ傍観して？面白がってたんだ




『逆に尊敬するわ、あんたみたいな屑野郎』



悪趣味すぎて笑える

敵は1秒でも早く殺めたい私とはまるっきり違う







「本当はさ、一応彼女だったんだよね。お前が殺したハニトラ女」



一応ってなに



「まぁどうでもいいけど。殺す前にこのくらい痛い目合わして当然じゃん？」

『………私はそんなの知らないし。そもそもあんたは敵だし』

「そうだな。俺らは敵同士だから、何されたって文句言われる筋合いないだろ」




おっさんは既に死んだというのに、今になってポケットから拳銃を取り出し始めるそいつ



「んで、今から俺とお前は殺し合いをします」

『……』

「俺はチャカ持ちで、お前は無装備。そもそも男と女だし結果は見えてるな」

『……』

「その上で聞くけど」




黙れ

何を問われようが私はもうすぐお前に殺されるんでしょ





「全部捨てて、俺の女になる？」







『……は』





それはあまりにも唐突で、予想外だった




「彼女にしたいんだよね。あんたを」



長い人差し指がピンとこちらを指した




まさかこの状況でいけると思って言ってんの？


嫌に決まってる


こいつと付き合うくらいなら死ぬ







『……どうして』

「特定の女いた方が楽なんだよ色々と。殺そうと思ったけど気が変わった。きみ綺麗だし自立してるし、さっぱりしてて一緒にいてもイラつかなそうだからちょうどいい」





つまりあんたの人形になれってことでしょ？


そんなこったろうと思った


綺麗だとか自立してるとか、そんなの会ったばっかのこいつに何がわかるんだ




「言う通りにしてくれるなら、悪い様にはしねーよ」




そんな誘い文句聞いた事ない

仕事上、相手の佇まいは常に解析するようになっていたせいで

錠剤を持ってるのが目に入った


もし断れば、死ぬか、眠らされて何処かに連れてかれる

私の人生をこんな奴に振り回されるなんてごめんだ
でも、こんな奴に終わらせられるのはもっと嫌




『………分かった。付き合えばいいんでしょ』



変にぐずったり抵抗するよりも、危機的状況には逆らわない方が身のため

私は賢いから、うまくやる方法は幾らでも見つけられる



「話のわかる女でよかったよ」



地獄みたいな交際生活

いや

服従生活の始まり

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