冷たい服従【灰谷蘭】

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「……なんかあった？」




帰宅中の車で聞かれる



なんで分かんのこいつは






━━━━不祥事があったら直ぐに連絡すること




これは蘭にとって、梵天にとっては明らかな不祥事だ

裏切ろうとしてる人間がいるんだもん





ボス達の計画は内容を聞いてなくとも上手くいくとは思えない

そして今現在、蘭がボスの企みについて全部知ってるってことも有り得る





この事を黙っていたら私も咎められるのだろうか






いや、ボスに対しては自分の損得考えて行動したくない

最後の約束は守りたかった







『なにもないよ』







演技は得意だ

じゃなきゃハニトラだって勤まらないし

なのに声が震えた




嘘とバレた、って自分でわかった







「そ」




お見通しといったような返答だった

いや、私の深読みかな




正直に話せばよかったと少しだけ後悔してしまう

そんな自分にも腹が立つ




「なぁ」






普段私と話す時には出さないような低い声




背筋が凍った






『………なに』









心臓が爆速で動いてる



バレた


全部バレたんだきっと












「なんでもない」









顔を横に向けるとニヤついた蘭と目が合う








『…は？なに？』




「今日の玩具買いに行く？って聞こうとした」








安心してしまった

いつも通りで








『却下』


「だよね〜。既存ので我慢しよ」




いつにも増して棒読みでそう言った後窓の外を向く





その一挙一動を敏感になっていたせいで、いつも通りなんかじゃないことは分かってしまった


本当はなにか他に言いたいことがあったんでしょ





私がボスとあっていたことか

九井さんは仕事中に私が蘭に呼ばれたと思っていたけど相容れない事に気づいてチクられてたとか





何も言われてないのにドクドクと鼓動だけが早くなっていく






これでいいのかな、ほんとに

結局ボスを裏切れないまま私は中途半端にこいつの下でこれからも過ごすのかな

私はボスの事まだ好きなのかな









私はどうしたいんだろう

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