厄介ファンだと思ってた！【三途春千夜】

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「ご、ごゆっくりどうぞ………」




なんて、従業員はおどおどしながら部屋の鍵を渡してくる


なんだよその、「この女、また別の男と戻って来やがった」とでも言いたそうな目は！


仕方ないだろ！警察のおっちゃんがずっとうちらのこと見てくるんだもん！







早足で階段を駆け上がり、2階の部屋に入った






隣には、例のピンク髪





え、しんど




なんでこのキモオタとホテル入室してんの私





「………」


『………』





.







.






何か言ってよ





こっちばっか見てないでさぁ





怖いんだけど






「………ｽﾝｯ」







.





『！？』






こいつ……！私の唾液まみれの手の匂い嗅いでやがる！？

やめろ！せめて私のいない所でやれ！







「………みょんたん、」


『………』








あぁ、もう





今、その名前呼ばないでよ…………







.






.






.





「……え、泣いてるの、みょんたん」






『………』





ずびっと鼻をすする音が響く






.






げ、何泣いてんの、もう25でしょうが


ヤクザが怖いなんて、今に始まったことじゃないし







.





.





いや、ヤクザが怖いんじゃなくて



自分のアイドル生命が絶たれるのが怖いのか







.






「みょんたん、大丈夫？可愛い顔が台無しだよ？」






うるせぇな



今更そのいつもの甘々ボイスで心配されたところで、お前の本性はなかったことにならないけど？



さっきのあんた、マジで何人か東京湾に沈めてる奴の声だったぞ








『………触んな』







.





お互いに諸々バレてしまったというのにアイドルとファンの口調で話すのはバカバカしいと思って、地声でそう言い捨てた





こっちに伸びてきた手は止まり、キモオタはハンガーラックの方に歩いていく







「………さっきのタバコとクスリ、ちよちよが預かっとくからね」



なにそれ、そんなん人生詰むじゃん






『……タバコは返して』



「ダメだよみょんたんはまだ17歳でしょ？てかさっきから言葉遣いが汚い(＞︿＜｡)」




バリバリに拳銃持ってるくせして気持ち悪い喋り方してんじゃねぇ！




『この感じで何となく察せない？』

「え？」







.





え？じゃねーよ分かるだろ







.




『私、25だよ。年齢詐称。タバコもヤクも辞められないし、毎週枕営業してるようなゴミアイドルですけど』







あ、枕営業の事までは話す必要ないじゃん。と、言った後に気づいた

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